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筆硯
「筆硯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
筆硯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
銅瓶《こどうへい》に、孔雀《くじゃく》の尾が何本も挿《さ》してある。その側にある
筆硯類《ひっけんるい》は、いずれも清楚《せいそ》と云うほかはない。と思うとまた人....
「星座」より 著者:有島武郎
あった。
「昨夜二更一匹の狗子《くし》窓下に来ってしきりに哀啼《あいてい》す。
筆硯《ひっけん》の妨げらるるを悪《にく》んで窓を開きみれば、一望月光裡《いちぼう....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
っては、胸中まず悲惨の気に閉塞されてしまう。 残余の財を取纏めて、一家の生命を
筆硯に托そうかと考えて見た。汝は安心してその決行ができるかと問うて見る。自分の心....
「運命」より 著者:幸田露伴
を侠客伝と為す。憾むらくは其の叙するところ、蓋し未だ十の三四を卒るに及ばずして、
筆硯空しく曲亭の浄几に遺りて、主人既に逝きて白玉楼の史となり、鹿鳴草舎の翁これを....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
に驚き、また書附けの軽妙に感服して、順々に手渡し、一句浮びましたという者もあり、
筆硯を借りてその包紙の余白に、貧病の薬いただく雪あかり、と書きつけて興を添え、酒....
「連環記」より 著者:幸田露伴
のが有ったろうが、源信もまた一乗要訣、往生要集等の著述少からず、寂心と同じように
筆硯の業には心を寄せた人であった。 寂心は弥陀の慈願によって往生浄土を心にかけ....
「勧善懲悪」より 著者:織田作之助
すに与って力のあった古座谷某である。古座谷はかつて最高学府に学び、上海にも遊び、
筆硯を以って生活をしたこともある人物で、当時は土佐堀の某所でささやかな印刷業を営....
「書について」より 著者:高村光太郎
二 この生れたままの自然発生的な書というものにもいろいろあって、生れながらに
筆硯的感覚を多分に持っている人のは、或る点まで立派に書格を保有し、無邪気で、自然....
「越後の闘牛」より 著者:佐藤垢石
著者南魚沼郡塩沢の里長鈴木牧之から庚辰三月二十五日に伝聞した実況で、牧之は村政や
筆硯多忙のために、雪譜中へ闘牛記を収めることができなかったから自分が代わって八犬....
「瘠我慢の説」より 著者:木村芥舟
べからざるところのものなり。芥舟先生は少小より文思に富み、また経世の識あり。常に
筆硯を友として老の到るを知らず。頃日脱稿の三十年史は、近時およそ三十年間、我|外....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
。国から持って来ましたもので、調合台に使用するので広く場所を取りました。上には、
筆硯は片隅で、真鍮の細長い卦算が二、三本と、合匙といいますか、薬を量る金属の杓子....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
霧の中に在る如く、又|朧月夜に立つに似て一字も書く事|得ならずなりぬ」とて、ただ
筆硯に不自由するばかりでなく、書画を見ても見えず、僅かに昼夜を弁ずるのみなれば詮....
「曲亭馬琴」より 著者:邦枝完二
涙が溢《あふ》れていた。同時に京伝の胸にも、深く迫る何物かが感じられた。 いま
筆硯をふところに飛出して行った弟の身の上に、十七年の歳月は夢と過ぎたが、しかも夢....
「子規居士と余」より 著者:高浜虚子
りもかえって俳句の唱和の方が多かったようである。 京都清遊の後、居士はたちまち
筆硯に鞅掌する忙裡の人となった。けれども閑を得れば旅行をした。「旅の旅の旅」とい....
「漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
は次のような文章である。 その後は大分御無沙汰御海恕|可被下候。時下窮陰之候|
筆硯いよいよ御|清穆奉賀候。さて先般来当熊本人常松|迂巷なる人当市『九州日々新聞....