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筆端
「筆端〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
筆端の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
れてその一字一句を読みはじめた。
「皚々《がいがい》たる白雪山川を封じ了んぬ。
筆端のおのずから稜峭《りょうしょう》たるまた已《や》むを得《え》ざるなり」
と....
「ルクレチウスと科学」より 著者:寺田寅彦
従って私の冷静なるべき客観的紹介の態度は、往々にしてはなはだしく取り乱され、私の
筆端は強い主観的のにおいを発散していることに気がつく。また一方私はルクレチウスを....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
走ります――
いったい、かような異常な昂奮によって、お銀様に選び出されて、その
筆端に載せられている、有縁無縁《うえんむえん》の三界の亡霊というは果して何者?
....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
まず、書の巧拙や、筆法の吟味は論外として、その覇気《はき》遊逸《ゆういつ》して、
筆端竜蛇を走らす体《てい》の勢いに、さすがの白雲が、すっかり気を呑まれてしまった....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
識に筆を運んでいるものとは受取れない。茂太郎の如く無遠慮に高唱しないだけに、その
筆端の一字一句が、あの聡明なお松の理解力と感覚に触れることなしには、表現されない....
「年賀状」より 著者:寺田寅彦
ったのである。 字を書くことの上手な人はこういう機会に存分に筆を揮って、自分の
筆端からほとばしり出る曲折自在な線の美に陶酔する事もあろうが、彼のごとき生来の悪....
「ドナウ源流行」より 著者:斎藤茂吉
も。 そこに Johann Grund という人の絵があった。これは美術史家の
筆端にのぼるものでないから、かかる辺土に年を経るのであろうが、僕はその人の画いた....
「現代小説展望」より 著者:豊島与志雄
である。 かくて、「自然の魂」を取り失い、「人生の壁」につき当る時、その作家の
筆端から生れるものは枯渇した記述に過ぎなくなる。現実の豊満さを具えていたものが、....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
者が一たびこの夢幻境に入るや否や、たちまちに平生の抑制から解放されて、ひたすらに
筆端の自在を楽しんでいるかのようにも見える。鴎外自身としても絶えず夢を見ていたの....
「俳句に於ける象徴的表現」より 著者:種田山頭火
井泉水氏は印象詩乃至象徴詩としての俳句について屡々語られた。しかし俳句に於ける象徴の本質に就ては説かれない。
筆端が時々此問題に触れたとも言うべき程である。私は此の根本的説明に接するを待つよ....
「おばけずきのいわれ少々と処女作」より 著者:泉鏡花
が、先生は一読して直ちに僕が当時の心状を看破せられた。返事は折返し届いて、お前の
筆端には自殺を楽むような精神が仄見える。家計の困難を悲むようなら、なぜ富貴の家に....
「少年の食物」より 著者:木村荘八
、或る同級の子に波を切る軍艦の絵を非常にうまく描くのがいた。私はそれを見ていると
筆端に不思議な新鮮さを感じました。まざまざと回想します。 その頃絵好きの同志が....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
その形を没す。ときに一天片雲なく、没後残光をとどめ、夜半なお余明あり。その光景、
筆端のよく模写するところにあらず。太陽の地下に入るとき、新月なお西天に印して、一....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
将(為家のこと)馳せ来つて云ふ……参議に任じ侍従を兼ぬと……運の早速なること更に
筆端の及ぶ所にあらず……未だ三十に及ばずして八座(参議のこと)に加はる、実に言語....
「エタに対する圧迫の沿革」より 著者:喜田貞吉
でもこれを以て製した墨を手にし給いて、厭い給わないのみならず、その墨汁を含ませた
筆端は、しばしば筆執るものの唇に触れて汚穢の感じを起さないが如きは、不徹底極まる....