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「筆触〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

筆触の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
科学者と芸術家」より 著者:寺田寅彦
も有名な話である。 それで芸術家が神来的に得た感想を表わすために使用する色彩や筆触や和声や旋律や脚色や事件は言わば芸術家の論理解析のようなものであって、科学者....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
らの間を鋭い刃物で断ち割ったような深い峡間、それらが特種な深い感じをもって特種な筆触で描かれている。君はややしばらくそれを見やってほほえましく思う。久しぶりで自....
伊太利亜の古陶」より 著者:宮本百合子
享けている。柄相応に、観られもする。愛されもするだろう。ところが二度三度の余分な筆触で、陶器は贋物地獄に堕される。声が出せたら、陶工がさてと偽の署名をしかけた時....
朝の風」より 著者:宮本百合子
ろをやっと堪えていると云いたげな表情であった。そのまるむきな小さい女を画家は荒い筆触で、二つの目の見開かれた大の腕のつけ根や腹の暗翳だのを誇張して表現しているの....
渋谷家の始祖」より 著者:宮本百合子
奢な幸福の色調を、一層鮮に引立てるために、一寸使った影として、楽しく歓びに満ちた筆触《タッチ》で一抹の灰色を引くのである。 こんなにして、正隆は、楽しかった。....
旅愁」より 著者:横光利一
をさして云った。 画はパンテオン附近の裏小路らしい風景だったが、崩れない確実な筆触の美しさは佐佐の頑固さと同時に、明澄な純粋さを保持しつづけようとして苦しんで....
楢重雑筆」より 著者:小出楢重
ら、次へ次へと絵具を重ねることが出来ないものですから、勢い画面が単調になります、筆触もなければ絵具の厚みもない、ここで不安と単調が重なるものですから、どうしても....
油絵新技法」より 著者:小出楢重
何にしても他人や書生や弟子や妻君の手を煩す事が出来難いのである。一本の線、一つの筆触が近代絵画の生命となってしまっているのであるが故に。 その結果は、近代画家....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
作事場《さくじば》的工場内よりカラリとしていて、独特の空気があるのが、光子さんの筆触ではまだつかまれなかった。でもそうやって、一年ごとにより進んだより多面な努力....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
。彼の室にはだれかのみごとな肖像が一つあった。ヨルダンスの手に成ったもので、荒い筆触で様々な細部まで描かれていて、乱雑にでたらめに書かれたものらしかった。ジルノ....
津田青楓君の画と南画の芸術的価値」より 著者:寺田寅彦
ない。 複製の技術としての絵画はとうの昔に科学の圧迫を受けて滅亡してしまった。筆触用墨の技巧はいまだ一般の鑑賞家には有難がられているであろうが、本当の芸術とし....
書について」より 著者:高村光太郎
的のものであるから、その根本原理として造型芸術共通の公理を持つ。比例均衡の制約。筆触の生理的心理的統整。布置構造のメカニズム。感覚的意識伝達としての知性的デフォ....
探偵小説壇の諸傾向」より 著者:平林初之輔
にデリケートにすぎて、しっかりした客観的な落ちつきを欠いている。時にはぜひ必要な筆触が作者の主観の中で独り合点されて省略されているような場合もある。どこかに鋭い....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
あるごとに、武蔵は観てきた。 自然、その中に彼の好き不好があった。梁楷の豪健な筆触は、剣の眼から観ても巨人の力をうけるし、海北友松は根が武人であるだけに、晩年....
随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
ないのだが――一部自分が観た範囲においても、彼の画風というか、溌墨というか、その筆触のあとには、多分に梁楷、牧谿、それから邦人の海北友松や狩野の影響らしいものが....