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「筆蹟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

筆蹟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
ん》されたその茶の間を眼早く見まわした。時計の下の柱暦に小母さんとおぬいさんとの筆蹟《ひっせき》がならんでいるのも――彼が最初にその家に英語を教えるのを断りに来....
俘囚」より 著者:海野十三
大きい驚愕が隠されているとは気がつかなかった。ああ、あの置き手紙! それは松永の筆蹟に違いなかったけれど、その走り書きのペンの跡は地震計の針のように震《ふる》え....
三角形の恐怖」より 著者:海野十三
人生き残った母親へ心配を懸けたくないと思ったので、それはそそっかしい親友A――の筆蹟にちがいないと話して安心をさせました。 母が階下へ降りてから、早速こわごわ....
蠅男」より 著者:海野十三
人の男の客に注意力を移したのだった。 「井上一夫。三十三歳」 と、たどたどしい筆蹟で書いてある一人の男があった。住所は南洋パラオ島常盤街十一番地と別な筆蹟で書....
断層顔」より 著者:海野十三
い放った。 「ちゃんとここに書いてある。この『通信部報告書』に。これは交川博士の筆蹟だ」 帆村は「密航者一名ヲ法規ニ照ラシテ処理ス云々」のところを指した。その....
脳の中の麗人」より 著者:海野十三
をあげた。 なぜといって、その手帖にこまかく書きこんである文字は、たしかに彼の筆蹟だったのであるから。 「ふーむ、これはたしかに自分の筆蹟にちがいない。だが、....
怪塔王」より 著者:海野十三
磁力砲のあべこべ砲――と書いてある。一彦君、ここを見たまえ。機械の裏側に、博士の筆蹟で、管のうえにほりつけてある」 一彦が、のぞいてみますと、なるほど一等太い....
東京要塞」より 著者:海野十三
宅しなかったことである。 尤もその夜ふけ、家には速達が届いた。それには五郎造の筆蹟でもって、工事の都合で当分向うへ泊りこむから心配するなと書いてあった。 奇....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
けた。彼は思わず胸をおどらせて、それを開いた。 はたしてそれは、川上機関大尉の筆蹟で認められた杉田にあてた手紙であった。 その文句は次のようであった。 「―....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
の輪廓を有っていた。 『そうする中に、通信は他の人格からも送られるようになった。筆蹟、文体、語法等各々皆特色がある。で、私には筆蹟だけ一瞥すれば、それが何者の通....
有喜世新聞の話」より 著者:岡本綺堂
聞きあわせたのですが、肝心の状袋は寿美屋の料理番が捨ててしまったというので、その筆蹟を見きわめることの出来なかったのは残念でした。」 「お筆は身でも投げたのでし....
鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
的芸術的理解の深い官界の権勢者を失ったのは芸苑の恨事であった。 鴎外は早くから筆蹟が見事だった。晩年には益々老熟して蒼勁精厳を極めた。それにもかかわらず容易に....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
に門生が誠意を籠めて捧げた百日紅樹下に淋しく立てる墓標は池辺三山の奔放|淋漓たる筆蹟にて墨黒々と麗わしく二葉亭四迷之墓と勒せられた。 三山は墓標に揮毫するに方....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
さそうなものだと思うのに、慧鶴はそれもしなかったらしい。美しい詩をつくり、美しい筆蹟を習って思を遣る。肉慾的のものとしては飲酒だけにすべてを籠めてしまったような....
魯迅さん」より 著者:内山完造
はそうした紙をたくさんもっておりましたが、魯迅さんの死後、中日両方の人々から何か筆蹟があったら下さいといわれて、小さい紙切れまでみな分配しましたよ。たった一つ私....