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等しい
「等しい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
等しいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
ようもなくその愛着は深かった。葉子は定子を見ると知らぬ間《ま》に木部に対して恋に
等しいような強い感情を動かしているのに気がつく事がしばしばだった。木部との愛着の....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
。広さと幅と高さとを点は持たぬと幾何学は私に教える。私は永劫に対して私自身を点に
等しいと思う。永劫の前に立つ私は何ものでもないだろう。それでも点が存在する如く私....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
先と冷たい金属とが同時に皮膚に触れると、自制は全く失われてしまった。彼女は苦痛に
等しい表情を顔に浮べながら、眼を閉じて前に倒れかかった。そこにはパオロの胸がある....
「片信」より 著者:有島武郎
できないものだ。かかる優越的な頼みを持っていながら、僕ははたして内外ともに無産に
等しい第四階級の多分の人々の感情にまではいりこむことができるだろうか。それを実感....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
のを求めるようになった。そこで一ヶ年、すなわち、太陽の輪回を、近似的に一二ヶ月に
等しいと定めた。古代メキシコ人の間に行われた、トナラマトル(Tonalamatl....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
い、前に大鷲がうつぎの森の静粛を破って以来、絶えず両人の身の辺に飛交う、花の色と
等しい、小さな、数知れぬ蝶々で。 お雪は双の袂の真中を絞って持ち、留まれば美し....
「演技指導論草案」より 著者:伊丹万作
な厖大な予備知識も、演出者として半日彼と交渉することとくらべたらほとんど無意味に
等しい場合がある。 ○厳密な意味において俳優を批評し得る人は、その俳優と仕事をし....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
恐れておった卑怯者も、一度溝にはまって全身水に漬っては戦士が傷ついて血を見たにも
等しいものか、ここに始めて精神の興奮絶頂に達し猛然たる勇気は四肢の節々に振動した....
「奈々子」より 著者:伊藤左千夫
で、人ひとり殺した恐ろしい水とも見えない。幼い彼は命取らるる水とも知らず、地平と
等しい水ゆえ深いとも知らずに、はいる瞬間までも笑ましき顔、愛くるしい眼《まなこ》....
「出奔」より 著者:伊藤野枝
あったので、その間にどうにもなると思っていた。 帰校後の登志子はほとんど自棄に
等しい生活をしはじめた。彼女と一緒にいた従姉はただ驚いていた。登志子は幾度かその....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
今|何処にあるか、所有者が不明である。元来椿岳というような旋毛曲りが今なら帝展に
等しい博覧会へ出品して賞牌を貰うというは少し滑稽の感があるが、これについて面白い....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
のために泥を塗られても少しも平時の沈着を喪わないで穏便に済まし、恩を仇で報ゆるに
等しいYの不埒をさえも寛容して、諄々と訓誡した上に帰国の旅費まで恵み、あまつさえ....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
恵ではない。馬琴はとかくに忠孝の講釈をするので道学先生視されて、小説を忌む鴆毒に
等しい文芸憎悪者にも馬琴だけは除外例になって感服されてるが、いずくんぞ知らん馬琴....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
学した余勇がなお勃々としていた処へ、春廼舎からは盛んに文学を煽り立てられ、弟分に
等しい矢崎ですらが忽ち文名を揚ぐるを見ては食指動くの感に堪えないで、周囲の仕官の....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
申し合わせをして午後の五時ごろ、二人が勤め先を退けるが早いか、距離から云ってほぼ
等しい銀座裏のジニアという喫茶店で落合い、そこで紅茶を啜りながら積もる話を交わす....