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筋向い
「筋向い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
筋向いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
うと言って柳吉に撥ねつけられたことなど、根に持たなかった。どころか店びらきの日、
筋向いにも果物屋があるとて、「西瓜屋の向いに西瓜屋が出来て、西瓜同志(好いた同志....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
な」 半七は茶を飲みながら往来をながめた。今までは気がつかなかったが、この店の
筋向いには何か小さな祠のようなものがあって、その前の空地には可なり大きい銀杏の木....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
と、苦々しさ一方ならず。 曲角の漬物屋、ここいらへも探偵が入ったろうと思うと、
筋向いのハイカラ造りの煙草屋がある。この亭主もベラベラお饒舌をする男だが、同じく....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
好だった。横井の家にも僕と同じ年頃の男の子が一人いた。それともう一人、石川の家の
筋向いの、大久保という大尉の家の子供と、それだけがすぐに友達になってしまった。も....
「わが町」より 著者:織田作之助
れた時、かばって呉れたのは次郎ぼんひとりだったと想いだすと、君枝はその電気写真の
筋向いにある喫茶店へはいって、冷たいものでも飲もうとすすめられたのを、もう断り切....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
石に巴里の中心地もどことなくアメリカ人の好みに佞ってアメリカ化されているけはい。
筋向いのフォードの巴里支店では新型十万台廉売の広告をしている。 食後の胃のけだ....
「異国食餌抄」より 著者:岡本かの子
いの小銭を支払わなくても済むからである。 ルクサンブルグ公園にある上院の正門の
筋向いにあって、議場の討論に胃腑を空にした上院議員の連中が自動車に乗る面倒もなく....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
が、今はただ一跨ぎ二足三足ばかりにて、向の雨落より、此方の溝まで亙るを得るなり。
筋向いなりとわれは覚ゆ。かの石の鳥居まで、わが家より赴くには、路のほどいと遥なり....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
ず、その細君が図抜けて美しいといって、滅多に外へ出たこともないが、向うも、隣も、
筋向いも、いずれ浅間で、豆洋燈の灯が一ツあれば、襖も、壁も、飯櫃の底まで、戸外か....
「神経」より 著者:織田作之助
た当時、「花屋」という喫茶店の主人はそう私に言った。 「花屋」は千日前の弥生座の
筋向いにある小綺麗な喫茶店だった。「花屋」の隣は「浪花湯」という銭湯である。「浪....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
ず、山越えた停車場の笛太鼓、大きな時計のセコンドの如く、胸に響いてトトンと鳴る。
筋向いの垣根の際に、こなたを待ち受けたものらしい、鍬を杖いて立って、莞爾ついて、....
「夜光虫」より 著者:織田作之助
あったところに、ハナヤという喫茶店が出来ていた。 ハナヤはもと千日前の弥生座の
筋向いにあった店だが、焼けてしまったので、この場所へ新らしくバラックを建てたらし....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
痴居士の家をたずねた。その頃、桜痴居士の本宅は築地二丁目にあって、居士自身はその
筋向いの横町に別宅をかまえて、そこを自分の仕事場にしていた。そこには榎本君と有名....
「九月四日」より 著者:岡本綺堂
わたしの旧宅地附近は元来が住宅区域であったので、再築に取りかかった家は甚だ少い。
筋向いのT氏は震災後まだ一月を経ないうちに、手早くバラックを建築してしまったので....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
来、それで益々土地が開け且その繁栄を増すように思われたからだった。少し遅れてその
筋向いにカッフエ・スターが出来、一頃は田原屋と三軒|鼎立の姿をなしていたが、間も....