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筒先
「筒先〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
筒先の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
。灰色がかった青地の新服を着けた兵士等の胸には黄や白の菊の花が挿《さ》され、銃の
筒先にまでそれが翳《かざ》されてあった。夫を、兄弟を、あるいは情人を送ろうとして....
「ゼーロン」より 著者:牧野信一
には置かないぞ! といき巻いているとの事であったから、私はその怖ろしいライターの
筒先に見出されぬ間にここを横断しなければならない。それにはゼーロンの渾身の駿足が....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
って任ずる会津武士は敵として進んで来る長州勢を迎え撃ち、時には蛤御門を押し開き、
筒先も恐れずに刀鎗を用いて接戦するほどの東北的な勇気をあらわしたという。 この....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
がっていた。そのむこうに、大野順平の後姿が見えるのであった。杖《つえ》づいた銃の
筒先からうっすらと煙が垂れていた。
「どうなさった?」
彼はちらりとふり向いた....
「父杉山茂丸を語る」より 著者:夢野久作
忘れていない。そのポンプはかなり上等のものだったらしく、長いゴムのホースの尖端の
筒先から迸る水が、数間先の土塀を越えて、通行人を驚かした。父は手ずから金盥に水を....
「函館の大火について」より 著者:寺田寅彦
はだ薄弱であると思われる。 消防当局のほうでもたとえばポンプや梯子の改良とか、
筒先の扱い方、消し口の駆け引きといったようなことはかなり詳しく論ぜられていても、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
い」 内山は、呆気《あっけ》にとられながら、丹後守の渡す拳銃を受取って見ると、
筒先は六弁に開いて、蓮《はす》の実《み》のように六つの穴があります。 「その一発....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、スワヤと市中警衛の酒井左衛門の手も、新徴組のくずれも、新たに募られた歩兵隊も、
筒先を揃《そろ》えて、その火元を洗いに来るにきまっているが、事実は、半鐘も鳴らず....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
《へや》の片すみに退き、そこで眦《まなじり》を決し、昂然《こうぜん》と頭を上げ、
筒先ばかりの銃を手にして立っていたが、その姿はなお敵に不安を与え、周囲には空地が....
「鷲」より 著者:岡本綺堂
醒めてから後悔したが、今さら仕様もない。この上は問題の尾白を見つけ次第に、自分の
筒先で撃ち留めるよりほかはなかった。自分の腕ならば、おそらく仕損じはあるまいとい....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
っ》を、棟瓦の上から、小藤次の家の方へ、覘《ねら》いをつけていた。片眼を閉じて、
筒先を上げ下げしつつ、軒下の中央へ、駕が止まって、お由羅の立出るのを、一発にと、....
「魔都」より 著者:久生十蘭
にしていやアがる、と叱※した件《くだり》は先刻すでに述べた通り。
やがて加十は
筒先をおさめてブラブラ歩き出そうとすると、この時うしろに当って、轟くがごとき拍手....
「平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
兵衛が背伸びをしながら、金唐声《きんからごえ》でそう叫び掛けたが、先生は遠眼鏡の
筒先を廻しながら、閑々《かん/\》と右眄左顧《うべんさこ》していられる。 伝兵....
「岩魚」より 著者:佐藤垢石
猟師共はこの猿を万太郎猿と呼んでいる。そして、誰もが申し合わせたように、この猿に
筒先を向けぬことにしてきたのである。 老猿の後頭から首筋、背へかけての毛は金茶....
「銀河まつり」より 著者:吉川英治
村ともよぶ部落の煙火師生活のなかに起った恋愛戦で、煙火師だけに、恋仇の首を花火の
筒先から打ちあげてしまって、同時に、女の生命も自分の生涯も、みんな花火にしてしま....