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筒抜け
「筒抜け〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
筒抜けの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
……。はは、何をおどろく。お身たちのすること為《な》すこと、この実雅の耳へはみな
筒抜けじゃ。われらが今宵、大納言|師道《もろみち》卿の屋形へ歌物語を聴きにまいろ....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
という。主婦の友社の安居さんの話では、駿河台の美津濃から神田橋の方へ向け、焼けて
筒抜けとなったという。 上富士前から神明町ヘ。浅草橋駅、上野は駅から御徒町駅へ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
あ、実に恐ろしいことじゃないか。先刻この室で交した会話が、ファウスト博士には既に
筒抜けなんだぜ」
事実まったく、この事件の犯人には、仮象を実在に強制する、不可....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
んなものぐらい。」 「ああ、ああああ、ああーッ。」 と便所の裡で屋根へ投げた、
筒抜けな大欠伸。 「笑っちゃあ……不可い不可い。」 「ははははは、笑ったって泣い....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
。」と草履穿きの半纏着、背中へ白く月を浴びて、赤い鼻をぬいと出す。 「へい。」と
筒抜けの高調子で、亭主帳場へ棒に突立ち、 「お方、そりゃ早うせぬかい。」 女房....
「計略二重戦」より 著者:甲賀三郎
たのだ。電話の受話器が外してあったらどうなると思う。この部屋で話す事は、交換局へ
筒抜けではないか。交換局はどこへでも好きな所へつなぐ事が出来る。貴様は自慢らしく....
「露肆」より 著者:泉鏡花
しくしながら、 「あ、あ、」 とまた大欠伸をして、むらむらと白い息を吹出すと、
筒抜けた大声で、 「大福が食いてえなッ。」 六 「大福餅が食べたい....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
とか、誰がひがんでいるとやらそんな小さなことが仕事の上にも影響して秘書から社長へ
筒抜けであることや、社長がそんなことまでに干渉するということが馬鹿げているとさえ....
「甲州鎮撫隊」より 著者:国枝史郎
隠密らしいというので……」 「まあ、隠密?」 「うむ。それで、味方の動静が敵方に
筒抜けになっては堪らぬと、近藤殿が涙を呑んで、わして……』と云ったところ……」 ....
「北斎と幽霊」より 著者:国枝史郎
付けた。 「これは何んだ?」 「あっ。幽霊!」 豊後守と金弥の声とがこう同時に
筒抜けた。 「おのれ融川!」 と次の瞬間に、豊後守の叫び立てる声が、深夜の屋敷....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
いって断ってくれ。」花袋は花袋で一向にとりあわない。 断れといった声は玄関にも
筒抜けに聞えたにちがいない。鶴見は気の毒がって、「かまわないから会ってやったらど....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
来たほうへ眼をやった時に、儒者ふうの老人を目つけたのである。「おお!」という声が
筒抜けた。老売卜者が漏らしたのである。「おおこれはどうしたのだ、大先生が歩いてお....
「春」より 著者:岡本かの子
居て。力を籠めて言った京子の声が竹筒を吹いた息のようにしゃがれて一本調子に口から
筒抜けて出た。京子は葡萄葉形の絹絞りの寝巻の上に茶博多の伊達巻を素早く捲き、座敷....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
れたように感じた。ただし不意を喰ったから、どぎまぎして、 「酒、酒です。」 と
筒抜けのぼやけ声。しかも当人時ならず、春風|胎蕩として、今日|九重ににおい来る、....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
いよいよ重くなって来たにもかかわらず、舞台の上の台詞の声が新富座の前の往来にまで
筒抜けに聞こえたということであった。 二十八年の五月、川上音二郎の一座が歌舞伎....