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筵
「筵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
筵の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「外科室」より 著者:泉鏡花
喜憂に関すべき、この大いなる責任を荷《にな》える身の、あたかも晩餐《ばんさん》の
筵《むしろ》に望みたるごとく、平然としてひややかなること、おそらく渠のごときはま....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
新しい柄杓《ひしゃく》を備えて、恭《うやうや》しく盛砂《もりずな》して、門から新
筵《あらむしろ》を敷詰《しきつ》めてあるのを、向側の軒下に立って視《なが》めた事....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
はない。死ぬなんて、」 と飛び込むと、坐ると同時で、ただ一室だからそこが褥の、
筵のような枕許へ膝を落して、覗込んだが、慌しく居直って、三布蒲団を持上げて、骨の....
「春昼」より 著者:泉鏡花
て、姉さん冠の横顔を見た時、腕白く梭を投げた。その年取った方は、前庭の乾いた土に
筵を敷いて、背むきに機台に腰かけたが、トンと足をあげると、ゆるくキリキリと鳴った....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
いつか、いつですか、昨夜か、今夜か、前の世ですか。私が一人、楫も櫓もない、舟に、
筵に乗せられて、波に流されました時、父親の約束で、海の中へ捕られて行く、私へ供養....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
に礼拝を仕る。世にかくれます神ならば、念仏の外他言はいたさぬ。平に一夜、御住居の
筵一枚を貸したまわれ……」 ――旅僧はその時、南無仏と唱えながら、漣のごとき杉....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
三 片側はどす黒い、水の淀んだ川に添い、がたがたと物置が並んで、米俵やら、
筵やら、炭やら、薪やら、その中を蛇が這うように、ちょろちょろと鼠が縫い行く。 ....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
推せば、場内の広さも、一軒隣のアラビヤ式と銘打った競馬ぐらいはあろうと思うのに、
筵囲いの廂合の路地へ入ったように狭くるしく薄暗い。 正面を逆に、背後向きに見物....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
。……一軒、家だか、穴だか知れねえ、えた、非人の住んでいそうな、引傾いだ小屋に、
筵を二枚ぶら下げて、こいつが戸になる……横の羽目に、半分ちぎれた浪花節の比羅がめ....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
撫でて、 「綺麗な衣服だよう。」 これはまた余りに情ない。町内の杢若どのは、古
筵の両端へ、笹の葉ぐるみ青竹を立てて、縄を渡したのに、幾つも蜘蛛の巣を引搦ませて....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
の姿が、寒くば絹綿を、と柳に囁き、冷い梅の莟はもとより、行倒れた片輪車、掃溜の破
筵までも、肌すく白い袖で抱いたのである。が、由来|宿業として情と仇と手のうらかえ....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
は心付いた。 はじめは押入と、しかしそれにしては居周囲が広く、破れてはいるが、
筵か、畳か敷いてもあり、心持四畳半、五畳、六畳ばかりもありそうな。手入をしない囲....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
滝太郎はこう言いながら、手なる燈を上げて四辺を照らした。 と見ると、処々に
筵を敷き、藁を束ね、あるいは紙を伸べ、布を拡げて仕切った上へ、四角、三角、菱形の....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
は脱落した、今度はまったくの墨染の聾坊主が、金沢の町人たちに送られながら、新しい
筵の縦に長い、箱包を背負って、高浜へ入って来ました。……川口に船を揃えて出迎えた....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
けられ、憚られ、疎まれ、かつ卻けられ、邪魔にされたごとく思ったので、何となく針の
筵。眉も目も鼻も口も、歪んで、曲って、独りで拗ねて、ほとんど居堪らないばかりの心....