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「箱庭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

箱庭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
白い壁も、そのほうに向かって走って行くモーター・ボートも見る見る遠ざかって小さな箱庭のようになった時、葉子は船長室でのきょうの思い出し笑いをしながら、手欄《てす....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
にさえ出さぬという――池やら、低い松や柳の枝ぶりを造って刈り込んであるのやら例の箱庭式はこせついて厭なものだが、掃除のよく行き届いていたのは、これも気持ちのいい....
地球盗難」より 著者:海野十三
えていうと、箱根山塊を三百メートル四方ぐらいの大きさに人造的に縮小した大仕掛けの箱庭とでもいった方がハッキリ博士邸の庭園を説明しているだろう。何れにしても奇怪な....
河明り」より 著者:岡本かの子
を控え、彼方此方に佇んで当惑する船夫の姿は、河面に蓋をした広い一面板に撒き散した箱庭の人形のように見えた。船夫たちは口々に何やら判らない言葉で怒鳴った。舷で米を....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
場所 花菖蒲 稗蒔 苗売り 木やり唄 浅草趣味 八百善料理 風鈴と釣忍 井戸がえ箱庭と灯籠 定斎と小使銭 青簾 夏祭り 心太と白玉 川開き 草市と盂蘭盆 灯籠流....
日本人の自然観」より 著者:寺田寅彦
け花のごときも、また日本人にとっては庭園の延長でありまたある意味で圧縮でもある。箱庭は言葉どおりに庭園のミニアチュアである。床の間に山水花鳥の掛け物をかけるのも....
太平洋魔城」より 著者:海野十三
うっているらしい音が、しきりにする。 ふりかえると、いつの間にやら、香港一帯が箱庭の飛石のように小さくなった。発動機の振動が、微かに座席にひびいてくるぐらいで....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
中へ、他所の別荘の刎橋が、流の半、岸近な洲へ掛けたのが、満潮で板も除けてあった、箱庭の電信ばしらかと思うよう、杭がすくすくと針金ばかり。三角形の砂地が向うに、蘆....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
リー道化《どうけ》役者、または、商店の陳列品の低劣さ、すなわち木彫の熊《くま》や箱庭の家やつまらぬ置物など、なんらの創意もないいつもきまりきった品物、破廉恥な書....
天皇陛下にさゝぐる言葉」より 著者:坂口安吾
し、日本は負けた、日本はなくなった、実際なくなることが大切なのだ。古い島国根性の箱庭細工みたいな日本はなくなり、世界というものゝ中の日本が生れてこなければならな....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
、アロハは熱血躍動する美の化身そのものであるぞ。芸術家の創造能力などゝいうものは箱庭のようなものだ、と私がシミジミ嘆いたのは当然だ。巷談師安吾の想像力がタカの知....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
いという型なのである。 欧米選手は概ねこの型のレース屋なのである。日本の選手は箱庭流のタイム屋だ。しかし、日本の選手だって、レースに於て賭けることを忘れている....
我が人生観」より 著者:坂口安吾
いのである。山から流れてくるけれども、耳成山だの天ノ香具山だのウネビ山だのという箱庭程度の小づくりの山からチョロ/\と流れてきて、古の帝都の盆地を走っているにす....
旅客機事件」より 著者:大庭武年
イと空に吸い上げられて、今迄太い細い線模様を描いていた地面が、忽ち野や山や人家が箱庭のように、小さく瞭り見える迄に収縮して了う。もう五百|米の高空なのだ。 J....
草紅葉」より 著者:永井荷風
ことがあった。よく見る町の理髪師が水鉢に金魚を飼ったり、提燈屋《ちょうちんや》が箱庭をつくって店先へ飾ったりするような趣味を、この爺さんも持っていたらしい。爺さ....