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「箱枕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

箱枕の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
夜明け前」より 著者:島崎藤村
後の彼の癖のようになっている。 「枕。」 とおまんが気をきかして古風な昼寝用の箱枕を夫に勧める間もなく、清助は木曾風な軽袗をはいて梯子段を上って来た。本陣大事....
新版 放浪記」より 著者:林芙美子
みすぼらしくなって来る。お糸さんとお国さんの一緒の寝床に高下駄のような感じの黒い箱枕がちゃんと二ツならんで、お糸さんの赤い胴抜きのしてある長襦袢《ながじゅばん》....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
頂戴――」 と言って、腹ばっていた女は煙管をほうり投げて、くるりと寝返りを打ち、箱枕を、思いきってたっぷりした島田くずしの髱《たぼ》で埋めて、蒲団をかき上げるよ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
にいたのだか、どこへ行ったのだか、最初からわからないままです。 まもなく一つの箱枕を持って来た清澄の茂太郎は、燃ゆるばかりの緋絹《ひぎぬ》の広袖の着物を着てい....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
し、布団が不足しているし、それらの買物に早いうち日本橋の西川へ行きました。塗った箱枕、うちに一つもない。先にお母さんがおいでになったとき買ったが、度々のひっこし....
復讐」より 著者:豊島与志雄
るのである。瞼をほんのりと赤らめ、かすかに酒の香のする寝息で、すやすやと、真赤な箱枕に頬を押しあてて眠りながら、私を夢にみている。夢の中の私は、彼女の枕頭に坐っ....
聖女人像」より 著者:豊島与志雄
る。そのような時、堅い物を後頭部にあてがうと気持ちがよい。ふと思いついて、婆やに箱枕を買ってきて貰った。陶枕というやつはどうも病人くさくていけない。箱枕なら、独....
放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
らしくなって来る。 お糸さんとお国さんの一緒の寝床に、高下駄のような感じの黒い箱枕がちんと二ツならんで、お糸さんの赤い胴抜きのした長襦袢が蒲団の上に投げ出され....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
ドタン場になって、しぶしぶ按摩を呼ばせた。療治の間もとうとう音をあげなかったが、箱枕をひとつ粉々に掴みつぶした。 庄兵衛の強情と痩我慢を、書いていたのではきり....
女心拾遺」より 著者:矢田津世子
びであった。 「さあ、いい児だから泣くのではありませんよ。母さんが悪かったこと」箱枕に額を伏せて泣いていた母は袖口でこっそりと眼を拭くと、起きなおって伊予子を抱....
澪標」より 著者:外村繁
が、いかにも生気の抜けたような表情である。見ると、診察台の上には、男枕の横に女の箱枕も置いてある。京都の、猥雑な場末町に住みついた町医者の感じでもある。 看護....