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箱膳
「箱膳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
箱膳の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「出家とその弟子」より 著者:倉田百三
お寝みよ。また風をひくといけないからな。 松若 まだ眠くないよ。 お兼 (登場。
箱膳の上に徳利を載せて左衛門の前に置く)お待ち遠さま。ひもじかったでしょう。さあ....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
の食事をした。亭主は食べ了った茶碗に湯を注ぎ、それを汁椀にあけて飲み尽し、やがて
箱膳の中から布巾を取出して、茶碗も箸も自分で拭いて納めた。 もう一度、私達は亭....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
から通って来るおまんをはじめ、一日の小屋仕事を終わった下男の佐吉までがめいめいの
箱膳を前に控えると、あちらからもこちらからも味噌汁の椀なぞを給仕するお徳の方へ差....
「だるまや百貨店」より 著者:宮本百合子
一 炉ばたのゴザのこっち側で、たけをが
箱膳を膝の前に据え、古漬けの香のもので麦七分の飯をかっこんでいる。 あっち側の....
「松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
に居って、尤もらしい顔色をして居りますが、夜に入りますと山寺で人が来ませんから、
箱膳の引出から鰺の塩焼や鰹の刺身が皿に載って其処へ出掛けて、その傍の所に軍鶏の切....
「特殊部落の犯罪」より 著者:豊島与志雄
。」 彼女はあたりを見廻した。釜の湯は煮立っていた。室の隅の板敷の上に、白木の
箱膳が散らかっていた。その中から竹皮包みの沢庵を取出して、大急ぎでぶっ切った。そ....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
名ばかりで板敷きの上に、簀子が一枚敷いてあるばかり、煤けて暗い行燈の側に、剥げた
箱膳が置いてあった。あぐらを掻くと箸を取ったが、給仕をしようと坐っている、妹を見....
「奥の海」より 著者:久生十蘭
、そこからのぞけば、玄関まで一と眼で見とおしである。八畳の置床の前に、布巾をかけ
箱膳を出し置き、ちかが丁字になった灯芯を切っている。馴れない仕事でたどたどしい。....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
びをして起上ってあぐらをかくと、まったく、間髪をいれずというふうに、小者がスッと
箱膳を運んでくる。 「先生、御膳になさい」 腹がへるとのそのそ起上ることにきま....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
が、ちゃんとあしらいの寸法がきまっていて、何ひとつ道具のない部屋で、塗りの剥げた
箱膳に、沢庵四きれ、汁一|椀、野菜の煮しめが一皿ついて、あたりに人はなしといえど....