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箸を取る
「箸を取る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
箸を取るの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「食堂」より 著者:森鴎外
その風炉鋪を一応丁寧に畳んで、左のずぼんの隠しにしまった。そして弁当の蓋を開けて
箸を取るとき、犬塚が云った。 「とうとう恐ろしい連中の事が発表になっちまったね。....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
「青葉の影の射す処、白瀬戸の小鉢も結構な青磁の菓子器に装ったようで、志の美しさ。
箸を取ると、その重った茄子が、あの、薄皮の腹のあたりで、グッ、グッ。 一ツ音を....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
室へ闖入《ちんにゅう》して、その物のいいザマは何だ」 と言いながら、箸をおいて火
箸を取ると、鍋の下にカンカンおこっている堅炭の火を一つハサんで、いきなり、それを....
「東上記」より 著者:寺田寅彦
を取り下ろすボーイの声|八ヶましきは早や夕飯なるべし。少し大胆になりて起き上がり
箸を取るに頭思いの外に軽くて胸も苦しからず。隣りに坐りし三十くらいの叔母様の御給....
「未来の天才」より 著者:豊島与志雄
。私は大きく息をしてまた夢想に耽った。 夕方、客膳が運ばれて来たけれども、私は
箸を取る気になれなかった。漸く一杯だけ食べた。 電燈の光りの下で、河野はまじま....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
ってみるだけなら、いいでしょう。」と、ずるそうに笑った。 いくらお膳立が整い、
箸を取るばかりになっているとはいえ、無経験な仕事であるだけに、開業日が迫ると共に....
「雁」より 著者:森鴎外
。 然るにその青魚の未醤煮が或日上条の晩飯の膳に上った。いつも膳が出ると直ぐに
箸を取る僕が躊躇しているので、女中が僕の顔を見て云った。 「あなた青魚がお嫌」 ....
「皇海山紀行」より 著者:木暮理太郎
べたまま、晩も朝も食わず、その上もう昼を過ぎている。それにもかかわらず膳に向って
箸を取ると、汁の外は喉を通らぬ。やむなく生卵を二つばかり飲んで三食に代えた。よほ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
紫蘇と唐辛子を漬けこんであって、ちょびと美味い。試みなされ」 「では」 武蔵が
箸を取ると、日観の眼をまたぴかりと感じる。向うから発する剣気か、自分から出る剣気....
「大谷刑部」より 著者:吉川英治
五尺先すら見えぬ眼を、未練げに大事がるのは、これやまた、べつな理というもの。……
箸を取るとか、厠へ立つとか、とかく身のまわりの些細事には、近侍の世話にもそうなり....