節婦[語句情報] » 節婦

「節婦〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

節婦の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
寒さ」より 著者:芥川竜之介
は彼にも勿論《もちろん》わかっていた。孝子でも水には溺《おぼ》れなければならぬ、節婦でも火には焼かれるはずである。――彼はこう心の中に何度も彼自身を説得しようと....
教育と文芸」より 著者:夏目漱石
お委《くわ》しくいいますと聖人といえば孔子、仏《ほとけ》といえば釈迦《しゃか》、節婦《せっぷ》貞女忠臣孝子は、一種の理想の固《かた》まりで、世の中にあり得ないほ....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
かわして、君はその薄よごれたガラス窓から離れる。 南へ南へと道を取って行くと、節婦橋という小さな木橋があって、そこから先にはもう家並みは続いていない。溝泥をこ....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
も等しくそうではなかったか。強い人は幸にして偉人となり、義人となり、君子となり、節婦となり、忠臣となる。弱い人はまた幸にして一個の尋常な人間となる。それは人々の....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
知り得る事あり、知り得ざる事あり、ただその事実を録するのみで、議論の限りでない。節婦 任士田という人が話した。その郷里で、ある人が月夜に路を行くと、墓道の松や....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
んでおる領民共のために、三つには八万騎旗本一統の名誉のために、そちが重責|荷った節婦になるのじゃ。それゆえ、よいか、このように申してそちひとりがきゃつの屋敷に乗....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
上の老年、および鰥寡、孤独、貧困の民どもは広く賑恤する。忠臣、孝子、義夫、および節婦らの聞こえあるものへは、それぞれ褒美をやる思し召しであるから、諸国の役人ども....
余興」より 著者:森鴎外
やらわからない。それが不思議な縁で、ふいと浪花節と云うものを聴いた。忠臣孝子義士節婦の笑う可く泣く可く驚く可く歎ず可き物語が、朗々たる音吐を以て演出せられて、処....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
も可いと、言出した処で、それが通って、世間がみんなそうなれば、かえって貞女だの、節婦だの、というものが、爪はじきをされようも知れないわ。 旦那は、また、何の徳....
松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
めまして…これは池の端の福地先生が口うつしに教えて下すったお話で、仏蘭西の侠客が節婦を助けるという趣向、原書は Buried a life という書名だそうで、....
堕落論」より 著者:坂口安吾
である。 要するに天皇制というものも武士道と同種のもので、女心は変り易いから「節婦は二夫に見えず」という、禁止自体は非人間的、反人性的であるけれども、洞察の真....
女大学評論」より 著者:福沢諭吉
を婦人の正当防禦と認め、其気力の慥《たし》かならんことを勧告する者なり。記者は前節婦人七去の条に、婬乱なれば去ると記し、婦人が不品行を犯せば其罪直に放逐と宣告し....
南国太平記」より 著者:直木三十五
月丸は、微笑した。 「しかし――女としては、よく決心し、よく計られた。貞女、節婦とも、称められんこともない――と――某は――見ておるが――」 月丸は、綱手....
不在地主」より 著者:小林多喜二
急に大きな声を出した。 「そうさ、裏が裏だから、表だけは立派にして置ぐのさ。やれ節婦だ、孝子だッておだてあげて、――抑えて置くのよ。そこア、うまいもんよ。」 「....
木綿以前の事」より 著者:柳田国男
近世大小の諸藩においては、競うて孝義伝という種類の書物を公刊して、表彰せられたる節婦孝子の篤行を伝えようとしているが、これを読んでみてもただちに感じられるのは、....