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「篤実〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

篤実の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
生地そのままにきわめて小心小胆であること、小胆なくらいだから性行はごくごくの温厚篤実で、その点さらになんらの非の打ちどころはないというのでした。加うるに、肝心の....
芽生」より 著者:島崎藤村
」 と母に言われて、お菊は漸く学士の方へ小さな手を出した。 少壮ではあるが、篤実な、そしていかにも沈着いた学士の態度は、私達に信頼する心を起させた。学士は子....
散華」より 著者:太宰治
のお宅へ行って、熱心に詩の勉強をはじめた様子であった。山岸さんは、私たちの先輩の篤実な文学者であり、三田君だけでなく、他の四、五人の学生の小説や詩の勉強を、誠意....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
亭主はかしこまって、早々に釜屋の亭主文右衛門を呼んできた。文右衛門は四十五、六の篤実らしい男であった。江戸の御用聞きに呼び付けられて、彼は恐るおそる挨拶した。 ....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
つけつ。 忿然として加藤の門を出でたる武男が母は、即夜手紙して山木を招きつ。(篤実なる田崎にてはらち明かずと思えるなり)。おりもおりとて主人の留守に、かつはま....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
ろ、何をいうにもお気に入りの翁が、一生に一度の切なる御願いというので殿様も、その篤実な志に御感心なすったのであろう。御内々で金十円也を謝礼用として賜わり、ほかに....
自由画稿」より 著者:寺田寅彦
くなって苦《にが》い顔をして家族一同にも暗い思いをさせる老人があった。それは温厚篤実をもって聞こえた人で世間ではだれ一人非難するもののないほどまじめな親切な老人....
ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
だ日浅きにかかわらず、前校長ののこされた美風と当地方の健全なる空気と、職員諸氏の篤実とによって幸いに大瑕なく校長の任務を尽くし得たることを満足に思っています、今....
富岡先生」より 著者:国木田独歩
と彼は恋の失望の外の言い難き恨を呑まなければならぬこととなった。 然し彼は資性篤実で又能く物に堪え得る人物であったから、この苦悩の為めに校長の職務を怠るような....
黒百合」より 著者:泉鏡花
なら浪人の手習師匠、由緒ある士がしばし世を忍ぶ生計によくある私塾を開いた。温厚|篤実、今の世には珍らしい人物で、且つ博学で、恐らく大学に業を修したのであろうと、....
喫煙四十年」より 著者:寺田寅彦
吹のおかげで、ついぞ家族を殴打したこともなく、また他の器物を打毀すこともなく温厚篤実な有徳の紳士として生涯を終ったようである。ところが今の巻煙草では灰皿を叩いて....
二人町奴」より 著者:国枝史郎
のような人物かと申しますに、素性は武士、武術の達人、心は豪放濶達ながら、一面温厚篤実の長者、しかも侠気は満腹に允ち生死はつとに天に任せ悠々自適の所もあり、子分を....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
れないが、かれはその当時の芝居道において殆んど絶無ともいうべきほどの無欲、温厚、篤実の好人物で、一切の世事にうとく、金の値さえもよくは知らなかったということであ....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
の事務所から館の方に帰って来られた。楼上の接客室で逢いましたが、その容貌は温厚|篤実でその中に威儀|凜然として侵すべからざる一種の徳を備え英語もなかなかよく出来....
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
きなり。 米国にて聞くところによるに、ヤソ教の僧侶ことごとく品行端正にして信教篤実なるにあらず、その三分の二は内実はなはだ疑わしといえども、表面には厳然たる宗....