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簓
「簓〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
簓の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「門」より 著者:夏目漱石
意識に眠のような幕を掛けて、二人の愛をうっとり霞《かす》ます事はあった。けれども
簓《ささら》で神経を洗われる不安はけっして起し得なかった。要するに彼らは世間に疎....
「旧主人」より 著者:島崎藤村
》の切れたのです。※《ざる》に切捨てた沢菴《たくあん》の尻も昨日の茶殻に交って、
簓《ささら》と束藁《たわし》とは添寝でした。眺めては思い、考えては迷い、あちこち....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
作に出来上るというわけにも行かないのです。 刺青師は無数の細い針を束ねた一種の
簓のようなものを用いて、しずかに叮嚀に人の肉を突き刺して、これに墨や朱をだん/\....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
の真実の素姓を突留めんとした書物でありまして、結局この著者の研究の結果は、家康は
簓者《ささらもの》の子であって、松平氏の若君でもなんでもない、十九歳までは乞食同....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
れません。牙がキリキリと鳴りました。さしもに堅い樫《かし》の棒の一端は、みるみる
簓《ささら》のようにムク犬の口で噛み砕かれていました。 「こん畜生、嚇《おどか》....
「痀女抄録」より 著者:矢田津世子
欲しそうにして店の中を見まわしているので、寿女は、嫂が不自由しているという笊だの
簓だのを風呂敷いっぱいに包んで持たせてやった。親戚の人たちが来ても矢張りこうであ....
「間人考」より 著者:喜田貞吉
この事は後に詳説する)がその職業によって、御坊と呼ばれ、番太と呼ばれ、茶筅或いは
簓と呼ばれ、説経者と呼ばれたのもまた同じ様なもので、由来賤職に従事するものは決し....
「手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
刳ったものでありますが、茶人だったら塵取にでも取り上げるでしょう。荒物屋ではまた
簓のような茶筅を売ります。この地方に残るいわゆる「ぼてぼて茶」即ち「桶茶」に用い....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
ば 女も持たず この着たる紺の狩襖と 娘、換へ給べ ――楽器には絃楽器はなく、
簓、腰鼓、フリ鼓、銅※子といったような類。演し物によっては笛もつかう。 おどけ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
一流をよりすぐった大興行であったのだ。 そして、八人法師の拍子打ちに始まって、
簓踊りは本座の阿古、乱どり舞は新座の彦夜叉、刀玉取りは道一と、おのおの妙技をつく....
「特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ」より 著者:喜田貞吉
ょう。 特殊民の一部族に夙の者というのがあります。これはハチヤとか、茶筅とか、
簓とか、産所とかいう類のもので、比較的世間から嫌がられませぬ。したがって今は疾く....
「賤民概説」より 著者:喜田貞吉
、垣内の者などと云い、職業とするところから、皮屋、皮坊、皮太、茶筅、御坊、鉢屋、
簓、説教者、博士など、種々の名称があるが、要するに河原者と云い、坂の者と云い、或....
「俗法師考」より 著者:喜田貞吉
れる。その職業としたところからいえば、後の鉢叩・鉦打・ヒジリ・陰陽師・博士の徒、
簓・説経・祭文・市子・梓巫の輩、あるいは田楽(猿楽)・万歳・春駒・夷舁、大黒舞・....
「融和問題に関する歴史的考察」より 著者:喜田貞吉
は呼ばれなくなりました。彼らは地方によって、あるいは茶筅とか、鉢屋とか、宿とか、
簓とか、トウナイとか、説教者とか、いろいろの名称をもって呼ばれましたが、身分は賤....