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簗
「簗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
簗の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「古狢」より 著者:泉鏡花
は、道の途中ぐらい、麓の出張った低い磧の岸に、むしろがこいの掘立小屋が三つばかり
簗の崩れたようなのがあって、古俳句の――短夜や(何とかして)川手水――がそっくり....
「山の別荘の少年」より 著者:豊島与志雄
いきました。たいていみんなが見たのです。 すぐに、淵のしもての浅瀬《あさせ》に
簗《やな》をはりました。これでしもてに逃げることはできません。かみては滝ですから....
「アイヌ神謡集」より 著者:作者不詳
中ちゃらちゃら 木片の中ちゃらちゃら 飛ぶ様にして行って見たら 川の中程に二つの
簗があって 二つの
簗の杭が流れにあたってグラグラ動いているのを 二人の女がうつむ....
「くろん坊」より 著者:岡本綺堂
ぼって根尾村に着く。ここらは鮎が名物で、外山から西根尾まで三里のあいだに七ヵ所の
簗をかけて、大きい鮎を捕るのである。根尾から大字小鹿、松田、下大須、上大須を過ぎ....
「季節の味」より 著者:佐藤垢石
れを落ち鮎、鯖鮎、芋殻鮎などといって、奥山から渓水と共に流れきたった落葉と共に、
簗へ落ち込むのである。産卵のために下流へ向かう鮎は、盛期である七、八月頃の味に比....
「香魚と水質」より 著者:佐藤垢石
やわらかである。水が冷えれば冷えるほど、頭と骨がやわらかになる。秋の出水が上流の
簗の簀に白泡を立て、注ぎ去れば跡に大きな子持ち鮎が躍っている。その頃は、冷え冷え....
「利根の尺鮎」より 著者:佐藤垢石
したのである。合流点から上流は名にしおう坂東太郎の激流と深淵の連続である。白井の
簗、雛段、樽、天堂、左又、宮田のノドット、竜宮方面へと釣り上がって行った。 と....
「瀞」より 著者:佐藤垢石
り歩いた。 最後に、魚野川が信濃川に合流する上手一里ばかりの越後川口町の勇山の
簗場近くへ娘を連れて行った。この日は、一切娘の釣りに干渉するのをやめて、娘が思う....
「姫柚子の讃」より 著者:佐藤垢石
る。このたびの、小国川への釣り旅もそれであった。 鈎に掛かる鮎はいなかったが、
簗に落ちる鮎はいた。
簗に落ちる鮎を手にしてみたところ、陽気のためかまだ肌の艶が若....
「水の遍路」より 著者:佐藤垢石
川には、関東一と言われるほど姿、味も立派な鮎が棲んでいる。太子町の上流に掛かった
簗小屋に幾日か過ごして我が釣った鮎を葛の葉の火土焼きにして食べた味は、永久に忘れ....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
眺めながら、腕を組んで、かんがえる。 「……釣鈎《つりばり》も網もないとすると、
簗《やな》をつくってかいぼりするよりほかないようね」 水はせいぜい膝がしらぐら....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
キラキラ巡っていた。――が、高徳は悄然と、津山川の方へ歩いて、ゆうべも寝た河原の
簗小屋の内で長嘆していた。 「ああ、何もかも空しく終った。松田ノ五郎がいったよう....