»
簣
「簣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
簣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「思い出す事など」より 著者:夏目漱石
れなければやまなかった。その恐ろしさに比例して、九仞《きゅうじん》に失った命を一
簣《いっき》に取り留める嬉《うれ》しさはまた特別であった。この死この生に伴う恐ろ....
「一夜」より 著者:夏目漱石
向脛《むこうずね》へ力穴《ちからあな》をあけて見る。「九仞《きゅうじん》の上に一
簣《いっき》を加える。加えぬと足らぬ、加えると危《あや》うい。思う人には逢《あ》....
「運命」より 著者:幸田露伴
めて就せ 五色の衣。 其九に曰く、 須らく知るべし 九仭の山も、 功 或は 一|
簣に少くるを。 学は 貴ぶ 日に随つて新なるを、 慎んで 中道に廃する勿れ。 其....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ますし、又現実には今度のペンギンみたいな失敗をして、ある意味では百ジンの功を一|
簣《き》に欠いているようなところもおこるのですものね。私はこの頃、心に僻《ひが》....
「海神に祈る」より 著者:田中貢太郎
避け避けして往った。沙を運ぶ者は、笊に容れて枴で担い、礁の破片を運ぶ者は、大きな
簣に容れて二人で差し担って往くのであった。 「よいしょウ、よいしょウ」 「おもい....
「怪しの館」より 著者:国枝史郎
ある。 「が、一分でも遅れては駄目だ」不安そうな男の声である。 「九仭の功を一|
簣に欠くよ」 「百も承知さ」と嘲笑うように、「お前さんにいわれるまでもない」 「....
「南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
几にべッタリ腰かけてしまった。苦心が水泡に帰したのである。又九|仭の功名を、一|
簣に虧いてしまったのである。落胆するのは当然である。 しばらく二人とも物を云わ....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
ない。こうヤキが廻ったからには、しょせん悪あがきをしてもそれは無駄。千仞の功を一
簣《いっき》に欠いたが、明石《あかし》の浜の漁師の子が、五十万両の万和の養子の座....
「俳人蕪村」より 著者:正岡子規
材料を用いし句を少し記しおくべし。 野袴の法師が旅や春の風 陽炎《かげろふ》や
簣《あじか》に土をめつる人 奈良道や当帰畠《たうきばたけ》の花|一木《ひとき》 ....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
なんか切れへくるまで与惣公とばかり思い込んでた。」 「九仭《きゅうじん》の功を一
簣《いっき》に虧《か》く。なあ、そのままずらかりゃ怪我あねえのに、凝っては思案に....
「四十年前」より 著者:内田魯庵
たために不測の洪水を汎濫し、八方からの非難攻撃に包囲されて竟にアタラ九仭の功を一
簣に欠くの失敗に終った。が、汎濫した欧化の洪水が文化的に不毛の瘠土に注いで肥饒の....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
きさまもまだ依然むかしのままな青侍だったか。浅慮者めがッ。これでまず九仭の功も一
簣に欠いてしもうたわ。思えば、きさまの如き無謀|小才なやつを大望の片腕とたのんだ....
「遠野物語」より 著者:柳田国男
り捨つべきところもなければ、屋敷の外に穴を掘りてこれを埋め、蛇塚を作る。その蛇は
簣に何荷ともなくありたりといえり。 二一 右の孫左衛門は村には珍しき学者にて、常....
「山の人生」より 著者:柳田国男
富士を脊負うて、いずれへか持って行こうとしたり、または一夜に大湖を埋めようとして
簣を以て土を運んだ。その
簣の目をこぼれた一塊が、あの塚だこの山だという話はどこに....
「母の手毬歌」より 著者:柳田国男
りの話をくらべて見よう。 第一種の話というのは、ある男が六十になった親を畚とか
簣とかに入れて、小さい息子に片棒をかつがせて、山の奥へ棄てに行く。やがて
簣も棒も....