籠中[語句情報] » 籠中

「籠中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

籠中の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
再びぱッときな臭い煙硝《えんしょう》の匂いが散るや一緒で、第二発目が轟然とまた駕籠中目ざしながら放たれました。 と同時に、何たる不覚であったか、江戸名物退屈男....
世相」より 著者:織田作之助
他愛もなく調子に乗っていたが、それがふと悲しかった。調子に乗っているのは、自家薬籠中の人物を処女作以来の書き馴れたスタイルで書いているからであろう。自身放浪的な....
食魔」より 著者:岡本かの子
対し、檜垣の主人は西洋趣味の生々しさを誇った。かかるうち知識は交換されて互いの薬籠中に収められていた。 いつでも意見が一致するのは、芸術至上主義の態度であった....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
た策であるか、もしも治右が陰に動いて、破邪顕正の大役承わる大目付までをもおのが薬籠中のものにしているとしたら、ゆめ油断はならぬ。おそらく将軍家の耳にも、身の潔白....
蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
れて、小田原の孤城に退嬰《たいえい》するを余儀なくされて終《しま》って居る上は、籠中《ろうちゅう》の禽、釜中《ふちゅう》の魚となって居るので、遅かれ速かれどころ....
共軛回転弾」より 著者:海野十三
いいところで発見、そこへベラントが特技を注ぎ込んで、たちまち鉛華をおのれたちの薬籠中のものとしてしまったからである。 「旦那さまぐらい燻製ものに理解がおありにな....
宇宙尖兵」より 著者:海野十三
ています。彼等が特に力を入れているのは言論です。彼等は今やわが幹部政治家をほぼ薬籠中のものとすることに成功しそうです。そして今わが国民をも彼等の思う色彩に塗りか....
世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
することによって、自然を人間学化し、解釈学化し、かくて又それを主体化して、自家薬籠中のものとして見せる。これこそアラ・モードな自然観だ、というわけだ。風土はだか....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
は早くも此方に来りて、突然鳥籠の蓋を開けつ。 驚き見る間に羽ばたき高く、琵琶は籠中を逸し去れり。 「おや! 何をなさいます。」 と謙三郎はせわしく問いたり。....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
いのみならず、駕籠の棒鼻に吊《つる》された提灯《ちょうちん》までが安全無事で、駕籠中の蝋燭の光も安全に保存していたところから、竜之助の輪郭をうっすらと闇の中へ描....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
未熟な少女も未熟ながらみんな生かして使っており、見ばえとか効果というものを自家薬籠中のものとしたシニセの安定感と申しましょうか。作者指導者に人材もいるのでしょう....
チェーホフの短篇に就いて」より 著者:神西清
の身のほとりに漂う。それは捕えがたい。……このニュアンスを、まんまと捕えて自家薬籠中のものとしたマンスフィールドの心には、非常に聡明な女性が住んでいたのに違いな....
妖怪報告」より 著者:井上円了
せる奇事なれば、ここに記載して読者の参考となす。 拝啓、小生は小鳥類を餌養し、籠中に運動し、余念なく時節につれて囀啼するを見聞し、無上の快事といたしおり候。当....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
岳の画はかくの如く淵原があって、椿年門とはいえ好む処のものを広く究めて尽く自家薬籠中の物とし、流派の因襲に少しも縛られないで覚猷も蕪村も大雅も応挙も椿年も皆椿岳....
向嶋」より 著者:永井荷風
く軽浮である。一は能《よ》く他国の文化を咀嚼《そしゃく》玩味《がんみ》して自己薬籠中の物となしたるに反して、一は徒《いたずら》に新奇を迎うるにのみ急しく全く己れ....