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粉雪
「粉雪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
粉雪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
ッフェやお茶屋へ出入した。彼は僕よりも三割がた雄《おす》の特性を具えていた。ある
粉雪《こなゆき》の烈しい夜《よる》、僕等はカッフェ・パウリスタの隅のテエブルに坐....
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
を離れた川沿いの一つ家はけし飛ぶ程揺れ動いて、窓|硝子《ガラス》に吹きつけられた
粉雪は、さらぬだに綿雲に閉じられた陽の光を二重に遮《さえぎ》って、夜の暗さがいつ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
なく吹き落として来る風に、海面は妙に弾力を持った凪ぎ方をして、その上を霰まじりの
粉雪がさーっと来ては過ぎ、過ぎては来る。君たちは手袋を脱ぎ去った手をまっかにしな....
「気狂い機関車」より 著者:大阪圭吉
三|哩程南方にある廃港の防波堤に間断なく打揚る跳波の響が、風の悲鳴にコキ混って、
粉雪の積った線路の上を飛ぶ様に歩いて行く私達の跫音などは、針程も聴えなかった。 ....
「春の槍から帰って」より 著者:板倉勝宣
しかしその時の雪のよかったことは話にならない。話を聞くと二月の上高地は、素敵な
粉雪らしい。黒部の上流は温泉のあるベト雪だと聞いたから、あっちへ行くならその覚悟....
「雪魔」より 著者:海野十三
ろしをせねばなるまいよ」 と、迎えに来てくれた父親はそういって、またちらちらと
粉雪を落しはじめた灰色の空を恨めしげに見上げた。 「五助ちゃんは何している? ね....
「大空魔艦」より 著者:海野十三
のころ急に天候が険悪になってきて、風がひゅうひゅうとふきだし、氷上につもっている
粉雪を煙幕のようにふきはらった。 それをじっとみつめていた松川隊長は、 「橇犬....
「伯林の降誕祭」より 著者:岡本かの子
に来るのです――そしてクリスマス。 バルチック海から吹き渡って来る酷風が、街の
粉雪の裾を斜に煽る。そして行き交う厚い外套と雪靴の街、子供達の雪合戦の街、橇の其....
「雪霊記事」より 著者:泉鏡花
ったのであろうも知れない。 「ああ、酷いぞ。」 ハッと呼吸を引く。目口に吹込む
粉雪に、ばッと背を向けて、そのたびに、風と反対の方へ真俯向けになって防ぐのであり....
「雪霊続記」より 著者:泉鏡花
は一つの雪の丘です。――そうは言っても、小高い場所に雪が積ったのではありません、
粉雪の吹溜りがこんもりと積ったのを、哄と吹く風が根こそぎにその吹く方へ吹飛ばして....
「狂女」より 著者:秋田滋
。 それから、夜となく昼となく雪が降りつづく季節が来て、野も、森も、氷のような
粉雪の屍衣のしたに埋もれてしまった。狼が家の戸口のそばまで来て、しきりに吼えた。....
「初雪」より 著者:秋田滋
れて、死んだように寂然している。彼女はいきなりその素足を氷のように冷たい、柔かな
粉雪のなかへ一歩踏み込だ。と、傷のように痛く疼く冷感が、心臓のところまで上って来....
「褐色の求道」より 著者:岡本かの子
は体さえ丈夫なものならどうにか割込めます。ですから私たちは朝、目を覚して窓硝子に
粉雪の曇りが見えるとき寝床から飛上って『占めた!』と叫びます。雪掻き仕事は、その....
「高原の太陽」より 著者:岡本かの子
の雫を滴らしている。座敷のすぐ軒先の闇を何の花か糠のように塊り、折々散るときだけ
粉雪のように微に光って落ちる。 かの女は小さく繃帯をしている片方の眼を庇って、....
「透明人間」より 著者:ウェルズハーバート・ジョージ
しか二月もおわりに近い、ある寒い朝のことだった。身をきるような風がふいて、朝から
粉雪がちらちら舞っていた。こんな寒い日は、土地のものだって外を出あるいたりはしな....