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「粗暴〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

粗暴の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
とはしなかった。岡は時々葉子に事務長のうわさをして聞かした。そして表面はあれほど粗暴のように見えながら、考えの変わった、年齢や位置などに隔てをおかない、親切な人....
忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
ものが多かった。忠直卿は、これまでは癇癖こそあったが、平常、至極闊達であり、やや粗暴のきらいこそあったが、非道無残な振舞いは寸毫もなかったので、今日の忠直卿の振....
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
おもにその影響を滝人のほうにもたらせていた。と云うのは、だいいち十四郎の気性が、粗暴になってきて、血腥《ちなまぐさ》い狩猟などに耽《ふけ》り、燔祭《はんさい》の....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
った。当時アテンにおけると同じような精神がローマを支配していて、しかもそれが一層粗暴で残忍であったのである。要するにブルノの仕事の眼目はアリストテレスの哲学が科....
自叙伝」より 著者:大杉栄
を見くらべていた。ある時僕はそっとその手帳をのぞきこんで見た。そこには、勇敢とか粗暴とか寛仁とか卑劣とかいうような言葉がならんでいて、その下に二、三行ずつその説....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
ものだ。現在でもこの世に生きているとも云える。現実に住み飽きてしまったり、現実の粗暴野卑に愛憎をつかしたり、あまりに精神の肌質のこまかいため、現実から追い捲くら....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
上の興味を求め度いらしく、ズボンのポケットへ突込んだ両手で上着をぐっとこね上げ、粗暴で悠々した態度で、街を漁り進んだ。 歩き方が乱調子になって来た青年の姿を見....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
の玄武岩で畳み上げた積石造で、周囲は一抱えもある角石で築き上げられ、それが、暗く粗暴な蒙昧な、いかにも重々しげなテオドリック朝あたりを髣髴とさせるものであった。....
桶狭間合戦」より 著者:菊池寛
行であるが、末森城に於て重臣林通勝、柴田勝家等に鞠育されて居たが、老臣共は信長の粗暴を嫌って信行に織田の跡を継せようと企てた。しかし信長との戦では直に破れたので....
近時政論考」より 著者:陸羯南
きいわゆる末流の徒は公然言論をもって王室の尊厳を犯すあるに至る、そのいまだかかる粗暴に至らざる者といえども世の風潮を憚りて明らかに日本帝国の国体を言うことをあえ....
太平洋魔城」より 著者:海野十三
、よくわかった。余が君を副司令の職から去ってもらおうとしたのは、大事を前にして、粗暴な君に艦隊をまかせておけないと思ったからだ。君がそれほど戦意にもえているのな....
かの女の朝」より 著者:岡本かの子
嘘を言わないのではない。嘘さえ言えぬ未完成な生命なのだ。教養の不足して居る小さな粗暴漢だ。そして恥や遠慮を知る大人を無視した横暴な存在主張者だ。(逸作もかの女も....
鹿狩り」より 著者:国木田独歩
土地であるからかねてこれらの人々の交際は親密であるだけ、今人々の談話を聞くと随分粗暴であった。 玄関の六畳の間にランプが一つ釣るしてあって、火桶が三つ四つ出し....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
って昨日の失礼を詫びた。――しかし彼は今なお少しく放心の態である。その眼にはかの粗暴の色が残っている。これはスコットランドでは「死」を意味するものである。――少....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
事情があるのである――僕はすこぶる困難の立場にあるもので、それがために言葉が多少粗暴になるのも、挙動が多少調子外れになるのも、まあ恕すべきであると考えたであろう....