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粗服
「粗服〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
粗服の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大島が出来る話」より 著者:菊池寛
た頃は、彼はニコニコの染絣《そめがすり》などを着て居た。高等程度の学生としては、
粗服に過ぎて居た。が、衣類に対しては、無感覚で無頓着であった譲吉は、自分の着て居....
「安井夫人」より 著者:森鴎外
十三歳であとを追って亡くなった。 お佐代さんはどういう女であったか。美しい肌に
粗服をまとって、質素な仲平に仕えつつ一生を終った。飫肥吾田村字星倉《おびあがたむ....
「聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
で覆うてから、悠然と上って来たが、二七、八になるらしい彼女の神々しい美しさには、
粗服の中にも聖ベアトリチェの俤があった。それが、高い思索と叡智を語るものであるこ....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
年も昔に流行ったような紋付羽織を祝儀不祝儀に着用して、それを恥ともせず、否むしろ
粗服を誇りとするが小諸の旦那衆である。けれども私は小諸の質素も一種の形式主義に落....
「字で書いた漫画」より 著者:谷譲次
第一。鼻が赤い。 第二。すでに紳士だから世のつねの紳士のごとく、いかに身に
粗服をまとうとも靴の先だけは木賃宿の寝布で拭いて光らせている。 第三。四季を通....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
――」
これが町奉行の大岡越前守とは知る由もない栄三郎、よし零落《おちぶ》れて
粗服《そふく》をまとうとも、面識のない武士には対等に出る。かれは必死に狼狽《ろう....
「都会に於ける中流婦人の生活」より 著者:豊島与志雄
。少くとも彼女等は働いている。何かしら糊口のために仕事をしている。如何なる粗食と
粗服と陋屋とを余儀なくされても、なおその生活には張があり力がある。朗かさや明るみ....
「砂漠の情熱」より 著者:豊島与志雄
唯々として荷を運び、或は家鴨の如く騒々しく群れてる人々なのである。 彼等はその
粗服と風雨に曝された皮膚以外、何等の表情をも持ってはいない。顔面の表情のみならず....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
した顔つきをしすり切れた服を着て、爪をかんだり目を閉じたりしていた。他の一隅には
粗服の群集がいた。それからまた、種々の姿勢をした弁護士らや、正直ないかめしい顔の....
「立札」より 著者:豊島与志雄
、彼自身は、背が高いのと腕が長そうだという感じを与えるだけで、一向人目につかない
粗服をまとい、どんな用件も至極簡単な言葉ですまし、無駄口は殆んど利かず、喧嘩口論....
「秦の出発」より 著者:豊島与志雄
一時意識を失い、次に恐怖に襲われた。恐怖の後に、平静な衰耗状態に陥った。そこへ、
粗服のなかに顔面だけが明朗に輝いてる玄元禅師が来た。禅師は二時間ばかり丹永のそば....
「塩花」より 著者:豊島与志雄
ほどらしいのに、長い髪の毛を女の子のように額に垂らしていた。織目の見える古生地の
粗服を着ていたが、それと対照に、ふっくらとした頬が如何にも瑞々しかった。 子供....
「新女大学」より 著者:福沢諭吉
然に身体の発育を妨ぐるの弊《へい》あり。大なる心得違なり。小児遊戯の年齢には粗衣
粗服、破れても汚れても苦しからぬものを着せて、唯活溌の運動を祈る可し。又食物も気....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
大奥の広間、すると、女王の寝室が目の前にある。彼は長い旅の果て、泥まみれになり、
粗服に乗馬靴、乱れた姿だった。そんなことはなにも忘れ、彼は目の前の扉を力いっぱい....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
っ、ぶるぶるぶるッ。」 下では 「いよう、七面鳥。」 あたかも、この時、粗帽
粗服の一高生らしいのが通りかかった。 「やれ、やれ、負けるな。」と上を向いた。そ....