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粗末
「粗末〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
粗末の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
でした事……まだ間に合いますかしら」
と葉子がいいながら階段をのぼると、青年は
粗末な麦稈《むぎわら》帽子をちょっと脱いで、黙ったまま青い切符《きっぷ》を渡した....
「或る女」より 著者:有島武郎
た。葉子はたまたま行きあう女の人たちの衣装を物珍しくながめやった。それがどんなに
粗末な不格好な、いでたちであろうとも、女は自分以外の女の服装をながめなければ満足....
「星座」より 著者:有島武郎
をすませて、二人の間に研究室と呼びならされる暗室のような窓のない小部屋に、四角な
粗末な卓を隔てて向いあっていた。小さなラムプのえがらっぽいような匂いと、今まで人....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
《にっこり》した。面色《おももち》は凛《りん》としながら優《やさ》しかった。 「
粗末なお茶でございます、直ぐに、あの、入《いれ》かえますけれど、お一《ひと》ツ。....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
い思をさして置かないと、他国へ来て、友達の難有さが分らないんですもの。これからも
粗末にして不実をすると不可ないから………」 と莞爾笑って、瞥と見て、 「それに....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
かれた手帖と山とをかたみがわりに見やりながら、君は丹念に鉛筆を削り上げた。そして
粗末な画学紙の上には、たくましく荒くれた君の手に似合わない繊細な線が描かれ始めた....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
するはずである、というのである。 木星の一日はわずかに一〇時間である。これは『
粗末な本性』を有する地球の住民にとっては十分な睡眠をするにも足りない時間である。....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
ている。もう三十を幾つも越した年紀ごろから思うと、小児の土産にする玩弄品らしい、
粗末な手提を――大事そうに持っている。はきものも、襦袢も、素足も、櫛巻も、紋着も....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
ながらさきに挨拶に来た時より、打解けまして馴々しく、 「どうも行届きませんで、御
粗末様でございます。」 「いや色々、さあずッとこちらへ、何か女中が御病気だそうで....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
とのみ、もの静なる仕舞家なりき。 財産持てりというには似で、継母なる人の扮装の
粗末さよ。前垂も下婢と同じくしたり。髪は鵲の尾のごときものの刎ね出でたる都髷とい....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
れ勝ちで甚だ困る。かの物理的心霊現象でさえもが、そうした場合に起るのは、概してお
粗末で、精妙優雅の要素に欠けている。何れにしても、極端に走るのが良くない。断食の....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
。衣を透して、肉を揉み、筋を萎すのであるから恍惚と身うちが溶ける。ついたしなみも
粗末になって、下じめも解けかかれば、帯も緩くなる。きちんとしていてさえざっとこの....
「赤いくつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
しくないものでしたが、ほかに、くつといってなかったので、素足の上にそれをはいて、
粗末な棺おけのうしろからついていきました。 そのとき、年とったかっぷくのいいお....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
たのかとまちがえるかもしれない。 彼の学校は低い建物で、大きな教室が一つきりの
粗末な丸太づくりだった。窓はガラス張りのもあったが、帳面の紙をはぎあわせてあるの....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
にこれなんざあ御銘々使い込んだ手加減があろうというもんだから。そうでなくッたって
粗末にゃあ扱いません。またその癖誰もこれを一|挺どうしようと云うのも無えてッた勘....