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「粗漏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

粗漏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
近時政論考」より 著者:陸羯南
中に起稿し、わが『日本』に漸次掲載せしところのものを一括せしに過ぎず。著者講究の粗漏よりして、あるいは諸論派の本旨を誤認せしものなきにあらざるべし。識者誨教を惜....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
忘失が多数ある事と思う。氏名なども間違っている人があるかも知れないが筆者の記憶の粗漏として諒恕御訂正を仰ぎたい。 その生存している僅かな人々と相会して翁の旧事....
社会時評」より 著者:戸坂潤
。左翼弾圧に平行して右翼弾圧の意味で暴力団狩りをやるというような考えがあるなら、粗漏も甚しいと云わざるを得ない。 つまり今回のギャング狩りは決して、右翼弾圧と....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
の目抜きを横行して、維納《ウィンナ》の月をながめて帰ることができました。しかし、粗漏《そろう》なる文明史の記者は、こんなことを少しも年表に加えていないようです。....
獄中消息」より 著者:大杉栄
あるまい。少なくとも以前に僕が、いやいやながらに怠け怠けてやっていたような蕪雑な粗漏のないことを信じて安心している。 広告はよくあれだけ取れたね。大いに感心し....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
刻賞賛したその作品を、辛辣《しんらつ》に非難し始めた。青年の眼を逸した、実際上の粗漏を、書き方の不正確さを、趣味や表現の欠点を、ひどく厳重に指摘したばかりでなく....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
はなかった。彼は受取証を書かせるだけの労を取らないのが常だった。貸金の計算なども粗漏をきわめていて、向こうから返して来なければほとんど催促をしなかった。他人がこ....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ごく古い人種に固有な人知れぬ不平衡の徴候たる、人を面くらわせるような奇怪不思議な粗漏が――ローマ平野に開けてる断層のようなものが、ある人々のうちにあるのは言うま....
悲しい誤解」より 著者:豊島与志雄
。堀田の席だ。専務に呼ばれたきり、長く戻って来なかった。おかしな男である。事務が粗漏でそして怠慢、というのが彼に対する重役連中の一致した意見だ。しばしば叱責され....
浅間噴火口」より 著者:豊島与志雄
のである。殊に別所についてそうだった。別所は近頃、神経衰弱の気味だといって仕事も粗漏だったし、元気がなく蒼ざめ、眼に輝きがなく、へんに陰鬱に沈みこんでいた。その....
椿の花の赤」より 著者:豊島与志雄
わず、幾台もの校正刷を自宅に持ち帰って目を通すことさえあります。そんな時、校正が粗漏だったりするのを、他人からつっこまれても、別所君は弁解がましい口を利くことも....
体格検査」より 著者:小酒井不木
う考えて見ても、自分が軍医を怒らせたとは思えませんでした。そうして、軍医の診断の粗漏によるものと信じました。で、私は、もう一度、士官学校の入学試験を受けることに....
子規居士と余」より 著者:高浜虚子
生の容喙すべきことにてもなく誰がやっても出来さえすれば宜しく候。ただ恐る三|鼠は粗漏にして任に堪えざるを。盲天寧ろ可ならんも盲目よく為し得べきや否や。 御申越....
岩波文庫論」より 著者:岩波茂雄
謝している。ただ志いたずらに高く、微力にして期するところ意に従わず、幾多の不備、粗漏があって古典を冒涜することなきかを恐れている。今後も御批判、御忠言、御希望を....
五重塔」より 著者:幸田露伴
気なき世に未練はもたねばものの見事に死んで退けて、十兵衛という愚魯漢は自己が業の粗漏より恥辱を受けても、生命惜しさに生存えて居るような鄙劣な奴ではなかりしか、か....