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粗野
「粗野〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
粗野の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
真《まこと》に民子は野菊の様な児であった。民子は全くの田舎風ではあったが、決して
粗野ではなかった。可憐《かれん》で優しくてそうして品格もあった。厭味とか憎気とか....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
は地上から飛び去り、虚偽、暴戻、背信、そして飽くことを知らぬ黄金の欲望並びに最も
粗野な罪悪の数々がとって代った。 オヴィドの宇宙開闢説はヘシオドのといくらも違....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
えたのであるが――この古代の茶の飲み方が残っていることを示している。 茶をその
粗野な状態から脱して理想の域に達せしめるには、実に唐朝の時代精神を要した。八世紀....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
ないことに興味を有していないのは、たった一つの暗い蝋燭に照らされている、かれらの
粗野なる顔つきをみても明らかであった。かれらは皆この近所の人びと、すなわち農夫や....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
貨物列車が爽やかな息を吐きながらしず/\パッシイ街の方へ越えて行く。昨日の祭日の
粗野な賑わいを追っ払ったあとから本然の姿を現わして優雅に返った巴里の空のところど....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
にかの塊を引き延ばしたとも、或いはたがいに離れようとして徒らに力なくもがいている
粗野な断片の集まりとも見えた。唯どう考えても偶然としか思えないのは、この
粗野な断....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
暗黒なトンネルのいっそう暗い入り口がある。その重苦しいような畳み石は、なんとなく
粗野で、しかも人を圧するような、堪えられない感じがする上に、日光はほとんどここへ....
「私の活動写真傍観史」より 著者:伊丹万作
その上に何か尻までくらいある薄いものを引つかけていた。 話ぶりなどは何かひどく
粗野で、そのために一種の滑稽感がありそれがときどき人を笑わせたが本人は決して笑顔....
「南極の怪事」より 著者:押川春浪
色は赤銅のごとく、眼は怪星のごとく、灰色の鬚をもって顔の半面をおおわれ、きわめて
粗野の人物と見ゆ、その配下には七人の水夫あり、皆土人にて、立って歩まずば、猛獣か....
「人間山中貞雄」より 著者:伊丹万作
雲の上で山中が顎を撫でてつらがつている声が聞こえるからもうこれくらいでよす。私の
粗野な文章はあるいは死者に対する礼を欠くところがあつたかもしれない。しかしかかる....
「城」より 著者:カフカフランツ
ーニに惚れてしまったんだ』と、ブルンスウィックがいいました。あの人はいつでも少し
粗野で、アマーリアのような性質の人間に対しては理解する力をもっていないんです。と....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
結局、実際にはなにが起こったというのだ? ただただ、彼は、女王でもある一老婦人に
粗野だった、そこで耳を引っぱたかれた、というだけのことではないか。単に虫の居どこ....
「北海道に就いての印象」より 著者:有島武郎
時に開くそのしみ/″\とした感じも忘れることが出来ない。 何処となく荒涼とした
粗野な自由な感じ、それは生面の人を威脅するものではあるかも知れないけれども、住み....
「明るき世界へ」より 著者:小川未明
の小さな木の芽は、柔らかな頭をひたひたとさして、いまにもちぎれそうでありました。
粗野で、そそっかしい風は、いつやむと見えぬまでに吹いて、吹いて吹き募りました。木....
「詩の精神は移動す」より 著者:小川未明
外になかったからである。所謂牧歌的のものはそれでいい。それらには野趣があるし、又
粗野な、時代に煩わされない本能や感情が現われているからそれでいいけれど、所謂その....