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「粘土〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

粘土の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大川の水」より 著者:芥川竜之介
ライフライクな、なつかしさがあるように思われる。ことに大川は、赭《あか》ちゃけた粘土の多い関東平野を行きつくして、「東京」という大都会を静かに流れているだけに、....
星座」より 著者:有島武郎
。彼は首をすくめ、懐《ふとこ》ろ手をしながら、落葉や朽葉とともにぬかるみになった粘土質の県道を、難渋《なんじゅう》し抜いて孵化場《ふかじょう》の方へと川沿いを溯....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
んな人が彼女を捕え得たと思った時には、必ず美しい死を遂げたその亡骸を抱くのみだ。粘土から創り上げられた人間が、どうしてかかる気高い娘を生み得たろう。 私は私自....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
の種の観測資料を収集した。カルデアの僧侶たちは毎夜の星辰の位置とその光輝の強弱を粘土版に記銘し、またこれらの星の出没並びに最も高くなるときの時刻をも合わせ記録し....
死の快走船」より 著者:大阪圭吉
もよさそうだ」 と急に重心板の下端部を、注意深く覗き込みながら、 「こりゃ君、粘土が喰っ附いてるじゃあないかね?」 私と下男は、云い合したように東屋氏の側へ....
河明り」より 著者:岡本かの子
台の地層を観察するのに都合がよかった。第四紀新層の生成の順序が、ロームや石や砂や粘土や砂礫の段々で面白いように判った。もうこの時分、娘は若い学者の測量器械の手入....
春昼」より 著者:泉鏡花
打欠けていたそうでございますが、其処からもどろどろと、その丹色に底澄んで光のある粘土ようのものが充満。 別に何んにもありませんので、親仁殿は惜気もなく打覆して....
ヒルミ夫人の冷蔵鞄」より 著者:海野十三
なんか訳はないというのだった。ことに、大した面積でもない凸凹した人間の顔などは、粘土細工同様に自由にこね直すことができると断言しているのであった。ヒルミ夫人の門....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
て引きあげると、死人の全身はあらわれた。死体はすべて赤裸で、蝋燭のひかりのもとに粘土色に黄いろく見えた。しかも明らかに打撲傷による出血と認められる青黒い大きい汚....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
った。 四 この時代に、ローマにアウレリウスという名高い彫刻家がいた。かれは粘土や大理石や青銅に、神や人間の像を彫刻し、人々はそれらの彫刻を不滅の美として称....
梵雲庵漫録」より 著者:淡島寒月
がある。その代りという訳でもあるまいが、この辺の土地は今でも一間も掘り下げると、粘土が層をなしていて、それが即ち今戸焼には好適の材料となるので、つまり暗黙のうち....
坑鬼」より 著者:大阪圭吉
道の上へ叩きつけられた。続いて工手が駈けつけると、監督は防火扉の隙間に塗りこめる粘土をとりに駈けだして行った。こんな場合一人や二人の人間の命よりも、他坑への引火....
明暗」より 著者:岡本かの子
てやったものである。 「そうそう、蝉のこと今、私が云いましたわね。蝉の形、また、粘土で造らせて上げますわね」 ここまで云うと三木雄は輪廓の大きな黒眼鏡の上にま....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
外に柔かであった。左は硬く、右は柔かい。少しく可怪いとは思ったが、柔かいのは恐く粘土であろうと想像して、彼は先ずここに両足を踏み固めた。 で、何よりも早く蝋燭....
古事記」より 著者:太安万侶
でありましよう」と申して、戸口の無い大きな家を作つてその家の中におはいりになり、粘土《ねばつち》ですつかり塗りふさいで、お生みになる時に當つてその家に火をつけて....