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粘着力
「粘着力〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
粘着力の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「花燭」より 著者:太宰治
向い、その髭の先にめしつぶをくっつけようとあせるのだが、めしつぶは冷え切っていて
粘着力を失っているので、なかなか附かない。みんな、困った。はりきりの監督助手は、....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
たごとくに立つ。主人は思わぬ発見をして感じ入った体《てい》で、ふっと吹いて見る。
粘着力《ねんちゃくりょく》が強いので決して飛ばない。「いやに頑固《がんこ》だな」....
「映画の語る現実」より 著者:宮本百合子
するところである。阿蘭が農奴として育ち農婦として大地を愛して生きる強さ、農民的な
粘着力、粗野な逞しい、謂わば必死な生活力をライナーの阿蘭は全面的に活かし得ている....
「歌集『集団行進』に寄せて」より 著者:宮本百合子
それぞれ注意をひき「織布部《おりぶ》のうた」は日々の生活の感情がにじみだしている
粘着力のつよさが作品の上に感じられます。 けれども、五十九人の作者、約七百余首....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
れたら、随分面白い事だろうと思う。その極めて歯切れの悪い、深刻でネチネチとした、
粘着力のある気前えのよくない、慾張りで、しみたれた泥棒が三人生れたりするかも知れ....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
き難いし、われわれの悲しみを琵琶歌を以て申上げる事も六ずかしいのである如く、あの
粘着力ある大仕掛にして大時代的な、最も壮大であった時代を起源とする歴史と組織を有....
「日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
価値を持たないように見えるに拘らず、それが一旦社会の変動期になると、強靭な思想的
粘着力や圧力となって現われて来る。思想は一般にここまで行かなければ、本当に生きて....
「裸木」より 著者:豊島与志雄
なんかする実験なんだ。その硝子を密着させるのに、普通はワゼリンを使用するんだが、
粘着力がわりに弱い。そこで鬢附のことを思いついて、やってみると、なかなか成績がい....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
らい打ちにされた。そしてこの国民兵の勇敢な一群は、皆豪勇な者らではあったが戦いの
粘着力を少しも持っていなかったので、しばらく躊躇《ちゅうちょ》した後、舗石《しき....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
たし、とぎれることもなかった。よそから見ればなんでもない視線であるが、その一途な
粘着力でからみつかれた相手の目には、どうしようもない重さであった。視線は厚みも重....
「光は影を」より 著者:岸田国士
間を戦争という事件が引き離してしまつたのである。それも、言つてみれば、彼になにか
粘着力のようなものが欠けているからだと、思わぬわけにいかぬ。そういう力さえあつた....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
の利かない奴に相違なかったのであります。それに木彫りは破損しやすいが、象牙彫りは
粘着力があって、しかも、見た目に美しく、何んとなく手の中へ入れて丸められるような....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
遜であった、かつ余りに潔癖であった。切めて山本伯の九牛一毛なりとも功名心があり、
粘着力があり、利慾心があり、かつその上に今少し鉄面皮であったなら、恐らく二葉亭は....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
っ張らなければならない人だ」と書いているほどだったが、いまや老人は、伯爵に極端な
粘着力のあることを、ひとりでに認めるにいたった。一方で、ベエコン老夫人の意見を聞....
「雪」より 著者:中谷宇吉郎
の農村の人々は教育されて来たのである。 かくの如く樹木を痛める雪は湿り気のある
粘着力の多い雪ということは分っているのであるが、今直ちに、これを春先に必ず降ると....