粛殺[語句情報] » 粛殺

「粛殺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

粛殺の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
唄が残っているといった。 関の地蔵尊に詣でて、私たちは峠にかかった。 満目|粛殺《しゅくさつ》の気に充ちて旅のうら寂しさが骨身に徹る。 「あれが野猿の声だ」....
忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
に犯さぬことを念とした。君臣の間に多少は存在していた心安さが跡を滅して、君前には粛殺たる気が漂った。家臣たちは君前から退くと、今までにない心身の疲労を覚えた。 ....
野分」より 著者:夏目漱石
はならぬ。 自分の活動は食うか食わぬかの活動である。和煦《わく》の作用ではない粛殺《しゅくさつ》の運行である。儼《げん》たる天命に制せられて、無条件に生を享《....
苦力頭の表情」より 著者:里村欣三
インドをはねあげた。と、緑の曠野は血のような落日を浴びていた。風の動く影もない、粛殺たる光景である。俺の魂は落日の曠野を目蒐けて飛躍した。どこかで豚の啼き声がし....
暗黒公使」より 著者:夢野久作
けれども影のような女は顔を上げなかった。影のようなゴンクール氏も動かなかった……粛殺……又粛殺……。 やがて女は静かに顔を上げた。卓子の上の洋盃をじっと見た。....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
れる水! この氷の解放に伴って、いくばくの犠牲を、要求されているかは、河原の荒涼粛殺を見たまえ。性なきまでに白げられたる、木の骨――というより外に、与える名がな....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
その他で見かけた一揆《いっき》の雲行きに似たところの人民の集合のような、鬱勃たる粛殺味《しゅくさつみ》も見えない。相当緊張しているにも拘らず、甚《はなは》だ間が....
」より 著者:寺田寅彦
影は何処ともなく消え去った。突然向うの曲り角から愉快な子供の笑い声が起って周圍の粛殺を破った。あたかも老翁の過去の歓喜の声が、ここに一時反響しているかのごとく。(明治三十四年十二月)....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
閉花羞月好手姿 巧計人を賺いて人知らず 張婦李妻定所無し 西眠東食是れ生涯 秋霜粛殺す刀三尺 夜月凄涼たり笛一枝 天網|疎と雖ども漏得難し 閻王廟裡|擒に就く時....
正に芸術の試煉期」より 著者:小川未明
義に即しているならば、――独り作家に限らない、すべての思想家がまた、――それは、粛殺な気にみち、理想を追求し、信念に燃えているのである。この種のものに対して、私....