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粟
「粟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
粟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文章」より 著者:芥川竜之介
ふと振り返ると、校長の佐佐木《ささき》中将を始め、武官では藤田大佐だの、文官では
粟野《あわの》教官だのは彼よりも後《うし》ろに歩いている。彼は大いに恐縮したから....
「鼻」より 著者:芥川竜之介
りもかえって気もちのいいくらいだったのである。
しばらく踏んでいると、やがて、
粟粒《あわつぶ》のようなものが、鼻へ出来はじめた。云わば毛をむしった小鳥をそっく....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
六十何銭しか残っていない今は、……
「お早う。」
突然声をかけたのは首席教官の
粟野《あわの》さんである。
粟野さんは五十を越しているであろう。色の黒い、近眼鏡《....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
誇る心も、やはり邪業《じゃごう》には違いあるまい。その心さえ除いてしまえば、この
粟散辺土《ぞくさんへんど》の中《うち》にも、おれほどの苦を受けているものは、恒河....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
ます。もっともわたしが搦《から》め取った時には、馬から落ちたのでございましょう、
粟田口《あわだぐち》の石橋《いしばし》の上に、うんうん呻《うな》って居りました。....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
もならなかった。仁右衛門はある日馬を市街地に引いて行って売り飛ばした。そして麦と
粟《あわ》と大豆とをかなり高い相場で買って帰らねばならなかった。馬がないので馬車....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
越《ひだごえ》と銘《めい》を打った日には、七里に一軒十里に五軒という相場、そこで
粟《あわ》の飯にありつけば都合も上《じょう》の方ということになっております。それ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
三十八 「どうもこうもありはしません、それが当前じゃありませんか。義、周の
粟を食わずとさえ云うんだ。貴女、」 と主税は澄まして言い懸けたが、常ならぬ夫人....
「朱日記」より 著者:泉鏡花
えて、まるで口移しに諳誦をするようにここで私に告げたんだ。が、一々、ぞくぞく膚に
粟が立った。けれども、その婦人の言う、謎のような事は分らん。 そりゃ分らんが、....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
―迷児の、迷児の、迷児やあ―― 呼ばわり連れると、ひょいひょいと三人出た……団
粟ほどな背丈を揃えて、紋羽の襟巻を頸に巻いた大屋様。月代が真青で、鬢の膨れた色身....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
われ、じんすけと嘲けられつつも、多勢の人数を狩集めて、あの辺の汽車の沿道一帯を、
粟、蕎麦、稲を買求めて、草に刈り、芥にむしり、甚しきは古塚の横穴を発いてまで、捜....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
婦、おとなしき女の童など、夢おだやかに日を送りぬ。 日は春日山の巓よりのぼりて
粟ヶ崎の沖に入る。海は西の方に路程一里半隔りたり。山は近く、二階なる東の窓に、か....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
らは、一と通り自分の素性を申上げて置くことに致しましょう。私はもと京の生れ、父は
粟屋左兵衞と申して禁裡に仕えたものでございます。私の名は佐和子、二十五|歳で現世....
「真夏の夢」より 著者:有島武郎
顔は百合の花のような血の気のない顔、頭の毛は喪のベールのような黒い髪、しかして罌
粟のような赤い毛の帽子をかぶっていました。奥さんは聖ヨハネの祭日にむすめに着せよ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
なれば、宇宙の鬼神感動して、仮に上※の口を藉りかかる怪語を放つらんと覚えず全身|
粟生てり。まして得三高田等は、驚き恐れつ怪しみて、一人立ち、二人立ち、次第に床の....