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粟餅
「粟餅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
粟餅の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文芸の哲学的基礎」より 著者:夏目漱石
否や待ち構えていた我々は意識を攫《つか》んでは抛《な》げ、攫んでは抛げ、あたかも
粟餅屋《あわもちや》が餅をちぎって黄《き》ナ粉《こ》の中へ放り込むような勢で抛げ....
「夢十夜」より 著者:夏目漱石
、耳の所を刈《か》り始めた。毛が前の方へ飛ばなくなったから、安心して眼を開けた。
粟餅《あわもち》や、餅やあ、餅や、と云う声がすぐ、そこでする。小さい杵《きね》を....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
たくしの書斎へ導いた。 雛妓は席へつくと、お土産といって折箱入りの新橋小萩堂の
粟餅を差し出した。 「もっとも、これ、園遊会の貰いものなんだけれど、お土産に融通....
「トコヨゴヨミ」より 著者:田山花袋
。ある山の中では、自分一人きりで、十五、六人の児童を相手にのんきに暮した。そこは
粟餅、きび飯、馬鈴薯、蕎麦、豆などより他に食うことの出来ないような処であった。勇....
「新年雑俎」より 著者:寺田寅彦
去年の正月ある人に呼ばれて東京一流の料亭で御馳走になったときに味わった雑煮は
粟餅に松露や蓴菜や青菜や色々のものを添えた白味噌仕立てのものであったが、これは生....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
帯なかなか活気のあったものである。ちょうど三丁目の所には旧幕時代からつづいている
粟餅屋があって、昔一日百両の売上げがあったという誰知らぬものない名代の店であった....
「狼森と笊森、盗森」より 著者:宮沢賢治
うんとご馳走《ちそう》したぞ。」と叫ぶのがきこえました。みんなはうちに帰ってから
粟餅《あわもち》をこしらえてお礼に狼森へ置いて来ました。 春になりました。そし....
「雁」より 著者:森鴎外
当る処にある、あの新しい黒い門が出来たのである。赤門を出てから本郷通りを歩いて、
粟餅の曲擣をしている店の前を通って、神田明神の境内に這入る。そのころまで目新しか....
「北斗帖」より 著者:違星北斗
泣いてよいのか笑ってよいのか 砂糖湯を呑んで不図思う東京の 美好野のあの汁粉と
粟餅 甘党の私は今はたまに食う お菓子につけて思う東京 支那蕎麦の立食をした東京....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
畦などへ摘みに出でて採り来り、それを充分によく乾燥させる、そしてこの材料を入れて
粟餅《あわもち》を製するのだが、その時は粟を蒸籠《せいろう》に入れその上に乾かし....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
柿の葉などの形の乾いた麺麭に、砂糖が白く附けてあるのが弟の好物でした。 名高い
粟餅屋もすぐ傍です。先に歩いていられた祖母が振返って、「きょうはよかった。気を附....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
立つようになって来ました。こうなると、それに伴れてまた色々な飲食店が出来て来る。
粟餅の曲搗きの隣りには汁粉屋が出来る。吹き矢と並んで煮込みおでん、その前に大福餅....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
遊びに出ては、一軒々々指を啣えて欲しい欲しいと餓鬼みたいさ。買えないだろう。あの
粟餅のふかし立だの、白玉焼の餡子のはみ出した処なんざ、今思出しても、唾が垂れる。....
「すみだ川」より 著者:永井荷風
い。長吉はとにかく思案《しあん》をしなおすつもりで、折から近所の子供を得意にする
粟餅屋《あわもちや》の爺《じじ》がカラカラカラと杵《きね》をならして来る向うの横....