»
粽
「粽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
粽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浜菊」より 著者:伊藤左千夫
「そうか、それじゃ君一寸風呂に這入り給え。後でゆっくり茶でも入れよう、オイ其|
粽《ちまき》を出しておくれ」 岡村は自分で何かと茶の用意をする。予は急いで一風....
「新生」より 著者:島崎藤村
は奥の部屋に居て茶の用意をしていた。まだ四月の下旬であるというに、彼はめずらしい
粽《ちまき》なぞを見つけて来た。男の児の節句も近づいたことを思わせるその笹《ささ....
「山崎合戦」より 著者:菊池寛
の陣に来た。その中に京都の饅頭屋塩瀬三左衛門と云うものも伺候したが、光秀が献上の
粽を、笹をとらずに食ったのでびっくりし、これでは、戦争は敗だと思ったと云う。「※....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
かありませんぞ。」 村では、飼蚕の取り込みの中で菖蒲の節句を迎え、一年に一度の
粽なぞを祝ったばかりのころであった。やがて組頭庄助をはじめ、五人組の重立ったもの....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
を取られていたというふうで、次ぎの部屋から茶道具なぞをそこへ運んで来た。きのうの
粽は半蔵にも食わせたかったが、それも残っていない――そんな話が継母の口から出る。....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
ものくれたり。されどかの継母の与えしものに、わが好ましきはあらざりき。 節句の
粽貰いしが、五把の中に篠ばかりなるが二ツありき。杏、青梅、李など、幼き時は欲しき....
「旅だち」より 著者:豊島与志雄
ていました。燃料は不足だけれど、せめて家の風呂をわかして、菖蒲湯をたてようとか、
粽《ちまき》はだめだとしても、せめて柏餅だけは拵えたいとか、戦争もすんだこととて....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
かきょう》』には「木高廿数丈、直ニシテ旁枝ナク、葉ハ車輪ノ如ク、木ノ杪ニ叢生ス、
粽皮アリテ木上ヲ包ム、二旬ニシテ一タビ剥ゲバ、転ジテ復タ上ニ生ズ、三月ノ間木端ニ....
「俳人蕪村」より 著者:正岡子規
といえども、一は精細的美を知らざりしに因《よ》る。芭蕉集中精細なるものを求むるに
粽《ちまき》結《ゆふ》片手にはさむ額髪 五月雨や色紙へぎたる壁の跡 のごとき比....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
、そこから、隣舟の若い男のすがたを、月の波映の中に、まざと見ていた。 浅黄布の
粽頭巾に、つづれてはいるが派手っぽい肩衣を着、冠者袴という身なりは、すぐ芸人とわ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
個の職人に姿を変えた。あたまは、あれからも伸び放題な蓬髪だった。それを渋染の布で
粽頭巾にしてつつむ。 いたって、のん気な旅にみえた。鳶七が連れた職人は十人ばか....
「木綿以前の事」より 著者:柳田国男
題にされているが、是が上尖りにできるだけ高く重ねようとしていた点は、五月の巻餅や
粽の円錐形と、同じ動機に出ているものではないか。すなわち是を人間体内の最も主要な....
「日本の伝説」より 著者:柳田国男
太田では、氏神の加茂県主神社の神様がお嫌いになるといって、五月の節句にも、もとは
粽を作りませんでした。大昔、加茂様が馬に乗って、戦いに行かれた時に、馬から落ちて....
「エタに対する圧迫の沿革」より 著者:喜田貞吉
たのである。「三十二番職人歌合」には、 庭掃 材木売 竹売 結桶師 火鉢売 糖
粽売 地黄煎売 箕作 樒売 菜売 鳥売 の三十二者の名を並べて、「こゝに我等三....
「それから」より 著者:夏目漱石
水で顔を拭《ふ》いて来ると云って立った。下女が好い香《におい》のする葛《くず》の
粽《ちまき》を、深い皿に入れて持って来た。代助は
粽の尾をぶら下げて、頻《しき》り....