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「精一〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

精一の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
枚の銅貨を巻煙草《まきたばこ》の箱の銀紙に包んだ。それから体を反らせたと思うと、精一ぱい銅貨を投げ飛ばした。銅貨はきらきら光りながら、風の高い浪の向うへ落ちた。....
婦系図」より 著者:泉鏡花
居る母様から手紙が来て、早瀬さんが静岡へお出なすって、幸いお知己になったのなら、精一杯御馳走なさい、と云って来たの。嬉しいわ、私。 あのね、実はこれは返事なん....
隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
日は刈り上げになる日であったのだが、朝から非常な雨だ。野の仕事は無論できない。丹精一心の兄夫婦も、今朝はいくらかゆっくりしたらしく、雨戸のあけかたが常のようには....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
きょうは早く行って、あの男またはその他の人に呼ばれないうちに、吉弥めをあげ、一つ精一杯なじってやろうと決心して、井筒屋へ行った。湯から帰ってすぐのことであった。....
英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
に落ちて、黒い煙の柱をたてた。大地は、しきりに震う。 「おーい、アン」 仏は、精一杯の声をあげて、アンを呼んだ。 「あたし、ここよ」 うしろで声がした。見る....
転機」より 著者:伊藤野枝
いるうち、心の底から冷たくなるような、何ともいえない感じに誘われるので、道々私は精一杯の声で歌い出した。声は遮ぎるもののないままに、遠くに伝わってゆく。時々葦の....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
ません。短銃なんぞ何になりましょう、私はそれで満足します。) (旦那様。) と精一杯で、お道さんが、押留められた一つの手を、それなり先生の袖に縋って、無量の思....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
は、この老鋪には余り資本が掛らな過ぎて、恐らくお銭になるまいと考えたらしい。で、精一杯に売るものは。 「何だい、こりゃ!」 「美しい衣服じゃがい。」 氏子は呆....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
きましておねだり申しますのではございません、これからは茶店を預ります商売|冥利、精一杯の御馳走、きざ柿でも剥いて差上げましょう。生の栗がございますが、お米が達者....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
に、姉の阿銀がね、貢さん、(ああい。)てッて返事をしましたとさ。 それからまた精一杯な声で、姉さん姉さんッて呼んだの。そうすると、ああ、もう水が出て、足の裏が....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
、山の中か、島へでも、巌穴へでも、お連れなすって下さいまし。もう、貴下にばかりも精一杯、誰にも見せられます身体ではないんです。」 袖を僅に濡れたる顔、夢見るよ....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
に|六ヶしい問題などを私のところにお持込みになられることは固く御辞退いたします。精一ぱいお取次ぎはいたしますが、私などの力量で何一つできるものでございましょうか....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
起そうと願う奴があるもんか……」 「えーと、こーつ」阿Qは彼の話が途切れたひまに精一杯の勇気を振起して口をひらいた。だが、どうしたわけか洋先生と、彼を喚ぶことが....
雪霊記事」より 著者:泉鏡花
の時、私は香に咽んで、涙ぐんだ声して、 「お寂しくおいでなさいましょう。」 と精一杯に言ったのです。 「いいえ、兄が一緒ですから……でも大雪の夜なぞは、町から....
画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
るのですから、時日もかかります。また、私はどんな用向きの画でも、現在の自分の力を精一杯尽くして描かなくては、承知できない性ですので、いい加減に急ぎの頼まれものを....