精根[語句情報] » 精根

「精根〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

精根の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
その時お栄は御弾《おはじ》きをしながら、祖母の枕もとに坐っていましたが、隠居は精根《せいこん》も尽きるほど、疲れ果てていたと見えて、まるで死んだ人のように、す....
俊寛」より 著者:菊池寛
るのを知っていた。が、報酬なしに土人が何物をも貸さないことを知っていた。が、彼の精根は、そうしたものに、すべて打ち克った。冬の終る頃には、一町近い畑が、彼の力に....
暗号の役割」より 著者:海野十三
大金庫は開いた。 「やれ、あいたか」 「あとは首領にやって頂きます」 三名人は精根を使い果してそこへしゃがんでしまった。 替って烏啼と碇とが前へ出て、金庫の....
糸くず」より 著者:国木田独歩
た。 かれはこれを感じている。かれの心はこのために裂かれた。かれは労して功なく精根を尽くしてしまった。かれの衰え行く様は明らかに見える。 今や諧謔の徒は周囲....
河霧」より 著者:国木田独歩
方を舞台に色んな事をやって見たが、ついに失敗に終わったと言うよりもむしろ、もはや精根の泉を涸らしてしまった。 そして故郷へ帰って来た。漂って来たのではない、実....
方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
うなものが無音のうちに拡がってくる。 「これ、お祖母さま?」 訊いたとき、眼は精根尽きたか閉じられてしまった。涙は頬を濡らして滂沱と流れ、拭かれるとまた※らき....
初雪」より 著者:秋田滋
はこの世のひとの顔とも思われない。そして頻りに咳をした。彼女はそのたびに、自分の精根を涸らしてしまう、込み上げて来るその動揺をおさえようとするためなのであろう。....
剣侠」より 著者:国枝史郎
之助は魘われたようにゾッとした。 と、不意に前のめりに、源女は畳へ突っ伏した。精根をすっかり疲労させられたらしい。 「お組」と仰天していざり寄り浪之助は抱き起....
おせん」より 著者:邦枝完二
ような日のことが、いまだにはっきり眼に残って……吉ちゃん。あたしゃ今こそお前に、精根をつくしたお化粧を、してあげとうござんす。――紅白粉は、家を出る時袱紗に包ん....
画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
に移れますが、上納の画こそは、永久御物として、御保存のごく名誉の御用画として我が精根を打ち籠めたいと思えば思うほど、そうは運びません。秋には展覧会に是非出品せね....
縮図帖」より 著者:上村松園
を驚かせたりしたこともなつかしい。 縮図する私には盆も正月もなかった。 かく精根を注ぎ込んで蒐めたものであるだけに、縮図帖は私の生命から二番目――あるいは生....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
るの奴より、この……山の松露が、それこそ真に香しい露の凝ったので、いわば松の樹の精根でがしてな。」 「松露を掘ってるようじゃ、法界屋、景気が悪うございますね。」....
『火星兵団』の作者の言葉」より 著者:海野十三
に、前後四百六十回にわたって連載されたもので、作者としても、これを完成するのに、精根をつくしました。 この『火星兵団』の筋は、ある年、とつぜん地球にモロー彗星....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
ああ、ああ。」 「ああ、ああだ。」 「はあ、へえだ。」 初めはその諧謔、淫靡、精根、類の無い饒舌の珍らしさに、後から後からと黒山のように群って、盛んに拍手し喝....
茂吉の一面」より 著者:宇野浩二
拝啓唯今御著『閑話休題』拝受大いに忝く、今度の読書の材料豊富感謝奉り候、小説に御精根傾けあらるる事尊敬慶賀無上に御座候、小生晩春よりかけて元気|無之候、今度元気....