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精緻
「精緻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
精緻の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「蘭学事始」より 著者:菊池寛
は驚喜の目を瞠《みは》らずにはおられなかった。濃い赤と青とで彩られた、臓腑骨節の
精緻な絵図を見ると、彼はそこに人体についてのすべての秘奥が、解き明かされてあるよ....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
砂の上におろされましたので、さっと軍配が引かれるといっしょに、肉弾相打って国技の
精緻《せいち》が、いまやそこに現出されんとした瞬間――まことにどうも変な結果にな....
「アッシャー家の崩壊」より 著者:佐々木直次郎
ルツのあの奔放な旋律を奇妙に変えて複雑にしたものが、痛ましく心に残っている。彼の
精緻《せいち》な空想がこもり、また一筆ごとにおぼろげなものとなった、なぜとも知ら....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
な星雲球の中に、もう既に最初の太陽の萌芽が見え始めているかと思うと、他の方面では
精緻な構造をもっていた諸太陽系が、再び不定型のガス団となって空間に拡散されている....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
鼻の円みと調和していて、それが、蕩け去るような処女の憧憬を現わしていた。そして、
精緻な輪廓に包まれ、捲毛の金髪を垂れているのが、トレヴィーユ荘の佳人テレーズ・シ....
「ウィリアム・ウィルスン」より 著者:佐々木直次郎
しなかったが、調子は――そっくりだった。そして彼の奇妙なささやきは。 この実に
精緻な肖像画(というのは、それはどうも戯画と名づけるわけにはいかなかったのだから....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
えず自己を捲き込んでいたような傾きがある。それがために私の思索が混雑し、単純化が
精緻を欠き、統一の外に取り残された data があった。たとえば性欲とキリスト教....
「大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
りとりを配し、時雨の中の虫時雨を月代に配せる昔の情景句に比して近代句は動的であり
精緻をきわめている。 葡萄粒をわたりくねれる毛虫かな あふひ 怒り蛇の身ほそ....
「桜花を詠める句」より 著者:杉田久女
忽ちにあたりの大地も籠も、みている人も花片をあびてしまった光景。近代写生が非常に
精緻となり、写生の技も昔より長足の進歩をしている事がわかる。 布団迄朝の寒さや花....
「嘘の効用」より 著者:末弘厳太郎
とができない。なるほど、それはよくともすれば「伝統」にとらわれやすい、同時にまた
精緻な「論理」に足をすくわれて意気阻喪しやすい若者を鼓舞して勇ましく「新組織」へ....
「増上寺物語」より 著者:佐藤垢石
近江、同木原杢などに賞を行なっている。 これを見ると、僅か半歳の間に宏大にして
精緻な美術建築ができあがったのであった。 しかし、霊屋の建築はとにかくとして、....
「法隆寺再建非再建論の回顧」より 著者:喜田貞吉
事となって、一層学界の注目がこの寺に集注せられ、種々の新発見とともに研究は次第に
精緻の域に向って進みつつあるのである。すなわち本誌編者の需めに応じて、いささかこ....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
まに垣根すずしき夕顔の花 などいう歌があって、写生的に自然を描くという点では随分
精緻をつくしているが、これらの歌は一つも『新古今集』にはとられていない。一体定家....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
カラにいえば印画のことだろう。写実といえばまたゾラ以降の観法だろう。応挙あたりの
精緻な写実もそうだ。だから写生ということも語義としては在来の写生であるはずだ。実....
「「特殊部落研究号」発行の辞」より 著者:喜田貞吉
輩の研究またもとよりこれを以て終りとするにあらず、将来永く継続して、ますますその
精緻の域に達せんとす。世の同好の各位、こいねがわくはこの意を諒とし、その調査観察....