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糊
「糊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
糊の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
ら、濛々《もうもう》と立ち上がる湯煙《ゆげむり》と窓からさす朝日の光との中に、糢
糊《もこ》として動いている。そのまた騒ぎが、一通りではない。第一に湯を使う音や桶....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
銭を上下《じょうげ》しているんですから……」
保吉はたちまち熱心にいかに売文に
糊口《ここう》することの困難であるかを弁《べん》じ出した。弁じ出したばかりではな....
「金将軍」より 著者:芥川竜之介
まち桂月香を殺し、腹の中の子供を引ずり出した。残月の光りに照らされた子供はまだ模
糊《もこ》とした血塊《けっかい》だった。が、その血塊は身震《みぶる》いをすると、....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
う過ぎ去った事だ。善くっても悪くっても仕方がない。」――慎太郎はそう思いながら、
糊《のり》の※《におい》のする括《くく》り枕に、ぼんやり五分刈《ごぶがり》の頭を....
「路上」より 著者:芥川竜之介
、執念《しゅうね》くさっきの話を続け出した。
俊助も今度は約束した手前、一時を
糊塗《こと》する訳にも行かなかった。
「あの女は看護婦でね、僕が去年の春|扁桃腺....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
盆の中に、いつの間にか、銅銭の山が出来る。………
が、こう云う商売をして、口を
糊《のり》してゆくのは、決して容易なものではない。第一、十日と天気が悪いと口が干....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
》をやどしていた。
「さあ、仕事でもするかな。」
Mは長ながと寝ころんだまま、
糊《のり》の強い宿の湯帷子《ゆかた》の袖に近眼鏡《きんがんきょう》の玉を拭ってい....
「或る女」より 著者:有島武郎
髪《そくはつ》だった。癖のない濃い髪には薪《たきぎ》の灰らしい灰がたかっていた。
糊気《のりけ》のぬけきった単衣《ひとえ》も物さびしかった。その柄《がら》の細かい....
「或る女」より 著者:有島武郎
って寄り添うように倉地に近寄ってそのボタンをボタン孔《あな》に入れようとしたが、
糊《のり》が硬《こわ》いのと、気おくれがしているのでちょっとははいりそうになかっ....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
た男を見送ったりしたが、いまいましさに吐き捨てようとする唾はもう出て来なかった。
糊《のり》のように粘ったものが唇《くちびる》の合せ目をとじ付けていた。
内地な....
「弓町より」より 著者:石川啄木
起った。郷里《くに》に帰るということと結婚という事件とともに、何の財産なき一家の
糊口《ここう》の責任というものが一時に私の上に落ちてきた。そうして私は、その変動....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
こからともなく時雨のような霰が降って来て海面を泡立たす。船と船とは、見る見る薄い
糊のような青白い膜に隔てられる。君の周囲には小さな白い粒がかわき切った音を立てて....
「江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
ので、町々の木戸を閉したのでしたが、木戸番は番太郎といって木戸傍の小屋で、荒物や
糊など売っていたのが、御維新後番兵というものが出来て、番太郎が出世して番兵となっ....
「梵雲庵漫録」より 著者:淡島寒月
う大きな石が残っている位強かったというが、その子の金平も、きんぴら牛蒡やきんぴら
糊に名を残したばかりか、江戸初期の芝居や浄瑠璃には、なくてはならない大立者だ。こ....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
抱いているような感じがする。 食堂では珈琲を煮ている。トンミイ、フレンチ君が、
糊の附いた襟が指に障るので顫えながら、嵌まりにくいシャツの扣鈕を嵌めていると、あ....