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「糊する〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

糊するの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
めの数日間は終日かけ廻って僅か数軒の得意を得たばかり、かくてはとうてい夫婦の口を糊するに足らないので、彼は夜は辻俥を挽き、これで得た金を食料に当て、先に資本とし....
雪の宿り」より 著者:神西清
でございます。 さりながらこれはほんの序の口でございました。住むに家なく、口に糊する糧もない難民は大路小路に溢れております。物とり強盗は日ましに繁くなって参り....
高瀬舟」より 著者:森鴎外
見つけるのに苦しんだ。それを見つけさえすれば、骨を惜しまずに働いて、ようよう口を糊することのできるだけで満足した。そこで牢に入ってからは、今まで得がたかった食が....
昨日・今日・明日」より 著者:織田作之助
かったし、よしんば寄席があっても、もう落語は語りたくなかった。だから、二人の口を糊するには、靴磨きにでもなるか、市電の切符を売って歩くかの二つだった。靴磨きは、....
学問の独立」より 著者:福沢諭吉
。口を糊《こ》せんとすれば、学を脩むるの閑《かん》なし、学を脩めんとすれば、口を糊するを得ず。一年三百六十日、脩学、半日の閑を得ずして身を終るもの多し。道のため....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
夥多しいのでありました。したがって生計上に困ることは自然の理で、ようやくその日を糊する位のもので、さらに他を顧みる隙もなかったことでありました。 木彫りの世界....
青春の息の痕」より 著者:倉田百三
する精力と時間とを削がれるでしょうし、だんだん苦しくなってゆきますね。しかし口を糊するための労働のない生活はけっして健全なものではありませんね。そのような生活か....
知々夫紀行」より 著者:幸田露伴
すに、秩父に生れ秩父に老いたるものの事とて世はなれたる山の上を憂しともせず、口に糊するほどのことは此地にのみいても叶えば、雲に宿かり霧に息つきて幾許もなき生命を....
随筆 私本太平記」より 著者:吉川英治
にほかならない。 その一つに。関東大震災の直後、ぜひなくまずい小説を書いて口を糊する心をきめ、冬から翌年まで、信州の山奥へこもっていたが、その折世話になった角....
雪の日」より 著者:近松秋江
露して、それで飯を食うということが、どうして堪えられよう! 私は、まだこの口を糊するがために貴重なる自己を売り物にせねばならぬまでにあさましくなりはてたとは、....
放免考」より 著者:喜田貞吉
別に生活の道を求め、或いはいわゆる雑式浮宕の輩となりて、放浪に衣食し、随処に口を糊するものも出来たに相違ない。そしてこれらの中から採用せられた少数のものが、いわ....