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糊口
「糊口〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
糊口の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十円札」より 著者:芥川竜之介
銭を上下《じょうげ》しているんですから……」
保吉はたちまち熱心にいかに売文に
糊口《ここう》することの困難であるかを弁《べん》じ出した。弁じ出したばかりではな....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
扇のきらいあり。その喝采《やんや》は全く暑中にありて、冬季は坐食す。 よし渠は
糊口《ここう》に窮せざるも、月々十数円の工面《くめん》は尋常手段の及ぶべきにあら....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
。からだは丈夫である。いざとなれば天秤棒《てんびんぼう》を肩にあてても自分一人の
糊口《くちすぎ》はできると多寡をくくっていたものの、何を楽しみにそんな事をして生....
「弓町より」より 著者:石川啄木
起った。郷里《くに》に帰るということと結婚という事件とともに、何の財産なき一家の
糊口《ここう》の責任というものが一時に私の上に落ちてきた。そうして私は、その変動....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
を向う或期間受けん。自分所有の家屋妻子の所有とたりたらば、妻子はよもや今日々々の
糊口には困るまじ(我死にて妻子を生かさん)精神病癒えなば死なずして吾又生きん。謀....
「二少女」より 著者:国木田独歩
も角お秀と一所に暮していた。それも多少は祖母を引うけた家から扶助でもらって僅かに
糊口を立てていたので、お秀の給料と針仕事とでは三人の口はとても過活されなかった。....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
う一札をいれて、銀行の方はクビになった。その後はソバ屋の出前持に落ちぶれて辛くも
糊口をしのいでいた。 兄の正司も三十となり、なんとかして嫁をもらって一戸をたて....
「あるニュウ・フェイスへの手紙」より 著者:岸田国士
芝居がかりの役を演じた古い時代はさておき、次第にそれがある人々の趣味というよりも
糊口の手段となるにつれて、芝居の内容ももちろん変って来たが、その舞台に立つ演技者....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
活をするようになってからも失せないで、画はやはり風流として楽んでいた、画を売って
糊口する考は少しもなかった。椿岳の個性を発揮した泥画の如きは売るための画としては....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
逼迫して社員の給料が極めて少かった。妻子を抱えているものは勿論だが、独身者すらも
糊口がし兼ねて社長の沼南に増給を哀願すると、「僕だって社からは十五円しか貰わない....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
壇的活動は元来本志でなく、一時の方便として余儀なくされたのだから、その日その日を
糊口する外には何の野心もなかった。『浮雲』第三編が発表された『都の花』を請取った....
「二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
新聞雑誌記者や文壇人が頻繁に出入し初めた。二葉亭が二度の文人生活を初めたのは全く
糊口のためで文壇的野心が再燃したわけでなく、ドコまでもシロウトの内職の心持であっ....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
族とか郷士とかいうような参詣人はごく少ないです。一番多いのが巡礼乞食で、これらは
糊口のために廻って歩くので冬分はこの大塔へ来て居りますが夏になればチベットの方へ....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
村民のごとく農業をとるを常とす。なんとなれば、村落の住僧は寺務の所得のみにては、
糊口をみたすことあたわざればなり。その生計かくのごとく窮するをもって、学問を修め....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
そしてまだまだ住みついたというでもなく、言葉も通じなければ、かろうじてしか日常の
糊口すら凌げないという一家である。日本の国と人とに今はひたすら取り縋ってはいるも....