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糊塗
「糊塗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
糊塗の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
、執念《しゅうね》くさっきの話を続け出した。
俊助も今度は約束した手前、一時を
糊塗《こと》する訳にも行かなかった。
「あの女は看護婦でね、僕が去年の春|扁桃腺....
「行人」より 著者:夏目漱石
安になるたびに、「芳江お前は……」とか何とか無理に問題を拵《こしら》えて、一時を
糊塗《こと》するのを例にした。するとそのわざとらしさが、すぐ兄の神経に触った。
....
「食魔」より 著者:岡本かの子
をするより、若い女のいる派手で賑かな会席を渡り歩るいてる方がその日その日を面白く
糊塗できて気持よかった。何か一筋、心のしんになる確りした考え。何か一業、人に優れ....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
息詰まるような一夜が明けた。葉子は庸三によって新聞の記事を何とかできるだけ有利に
糊塗しなければならなかったが、庸三もこうして彼女に捉まった以上逃げをうつ手はなか....
「惜別」より 著者:太宰治
列国の侵略を受けながらも、大川は細流に汚されずとでもいうような自信を装って敗北を
糊塗し、ひたすら老大国の表面の体裁のみを弥縫するに急がしく、西洋文明の本質たる科....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
がする。そして自分の交友関係というものについて、そのなかにふくまるる虚偽と自偽と
糊塗との醜さを厭う心をしみじみと感ずる。そして心を清く、平和に保ち、自他の運命を....
「二つの途」より 著者:豊島与志雄
んだ灰色に手荒く塗りつぶされて、処々にカンヴァスの布目が覗き出していた。其処から
糊塗しきれない空虚の感が、画面全体に漂っていた。何時までたっても出来上りそうに思....
「異邦人の意欲」より 著者:豊島与志雄
生活に対する掖導的作用に至っては、殆ど零に近い。斯くて大衆文学は、民衆に、一時を
糊塗する自慰自藉の糧を供給するだけであり、その感情的自涜行為を行わせるだけであり....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
と国家の安寧とのために、必要なる規定および命令を発す)とともに、自由主義で表面を
糊塗《こと》した。それは蛇《へび》の脱皮であった。
人間はナポレオンによって同....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
隠しはしない。それらの錯雑は一つの告白である。そこでは、偽りの外見もなく、何らの
糊塗《こと》もなく、醜陋《しゅうろう》もそのシャツをぬぎ、まったくの裸となり、幻....
「白塔の歌」より 著者:豊島与志雄
りました。 迅速な処理を要しました。高賓如は直ちに、呂将軍の脳溢血頓死と表面を
糊塗し、夜を徹して軍の統率を一手に収めました。そしてその翌日、高賓如将軍擁立の民....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
下となっても、我々に押しつけられるものは彼らの無智蒙昧な誤算だけで、しかもそれを
糊塗するに、言論や批判の自由を断圧して、身勝手な割当てを強要するだけのことであろ....
「雪の宿り」より 著者:神西清
堕落だ。でなければ見事きわまる賢哲保身だ。それを粉飾せんが為の高踏廻避と、それを
糊塗せんが為の詩禅一致だ。済世の気魄など薬にしたくもない。俺は夢厳和尚の痛罵を思....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
を欺くことにかけての自分たちのそれぞれの技巧と能力とに応じて、その興味をどんなに
糊塗してみたところで、その興味は、その根底においては、食人鬼のような興味であった....
「硝子を破る者」より 著者:中谷宇吉郎
見ると、その希望的観測は美事に裏切られている。敗戦の痛手というものは、そう簡単に
糊塗《こと》し終《おお》せるものではないらしい。 社会科学を勉強した人たちの意....