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「糜爛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

糜爛の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
薄明」より 著者:太宰治
てその眼蓋を手で無理にこじあけて中の眼球を調べて見ると、ほとんど死魚の眼のように糜爛《びらん》していた。これはひょっとしたら、単純な結膜炎では無く、悪質の黴菌《....
行人」より 著者:夏目漱石
なかった。けれども患者の病名だの処方だのを書いた紙箋《しせん》を繰って、胃が少し糜爛《ただ》れたんだという事だけ教えてくれた。 自分はまた三沢の傍《そば》へ行....
街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
集められている。その中を記者は、昂然と肩をそびやかして、電車道に出たのであった。糜爛《びらん》する浅ましい姿 記者はこうして、九月初めから十月|半《なかば》ま....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
おのずから行われるのだ。若し然しその人の個性がその事があったために分散し、精神が糜爛し、肉慾が昂進したとするならば、もうその人に於て本能の統合は破れてしまったの....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
灼く。日本家屋は倒壊し、それによる被害者は少なくなかった。熱線は、身体の露出部に糜爛を生じ、また薄いシャツや硝子は透過して、熱作用を及ぼすのである。 広島の死....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
たらありゃしない。ベッ、おゝ嫌だ」 おかみは顔をしかめた。 古井戸から上った糜爛した死体、それは三年前の話だったけれども、岸本は余り好い気持がしなかった。 ....
足迹」より 著者:徳田秋声
児はじきに押し出された。死児はふやけたような頭顱が、ところどころ海綿のように赭く糜爛して、唇にも紅い血の色がなかった。 「男の子ですかね、女の子ですかね。」産婦....
火の唇」より 著者:原民喜
ということまでもうわたしからは無くなっているようだ。わたしが滅びてゆく。わたしの糜爛《びらん》した乳房や右の肘《ひじ》が、この連続する痛みが、痛みばかりが、今は....
鎮魂歌」より 著者:原民喜
らめらの火や、噴《ふ》きあげる血や、捩《も》がれた腕や、死狂う唇《くちびる》や、糜爛《びらん》の死体や、それらはあった、それらはあった、人々の眼のなかにまだ消え....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
しさと怖ろしさとに迫られては筆をとった。霖雨のじめじめしい六月が来た。その万物を糜爛せしめるような陰鬱な雨は今日も今日もと降りつづいた。湿めっぽいうっとうしい底....
空襲下の日本」より 著者:海野十三
の側にはさらし粉が入ったバケツが三つも並んでいた。イペリットのような皮膚に対して糜爛性の毒瓦斯が襲来したときには、その上に撒いて消毒するためだった。 表通りを....
空襲警報」より 著者:海野十三
どうだろう。お前たちは穴のあいた靴を履いて、往来を歩いている。そこへ敵の飛行機が糜爛性の毒瓦斯イペリットを落した。さあ漂白粉をバケツに入れてその上に撒かないと、....
環礁」より 著者:中島敦
い。大切にされているとは言っても、フランペシヤだけは出来ると見える。腕や脚一面に糜爛《びらん》した腫物《はれもの》がはびこっていた。自然は私ほどにロマンティスト....
墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
はありません、ジーナとスパセニアの墓です。そしてそしてあの墓の下に、額を撃たれて糜爛したジーナと、スパセニアの亡骸が私を恨んで、横たわっているかと思うと、見えも....