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糠
「糠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
糠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
したまま、うしろ姿で、ちらりと赤い小さなもの、年紀ごろで視て勿論お手玉ではない、
糠袋か何ぞせっせと縫っていた。……島田髷の艶々しい、きゃしゃな、色白な女が立って....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
んな根こそぎ敲き売れ、と云うけれど、そうは行かねえやね。蔦ちゃんが、手を突込んだ
糠味噌なんざ、打棄るのは惜いから、車屋の媽々に遣りさ。お仏壇は、蔦ちゃんが人手に....
「妖術」より 著者:泉鏡花
、 「貴下、濡れますわ。」 と言う。瞳が、動いて莞爾。留南奇の薫が陽炎のような
糠雨にしっとり籠って、傘が透通るか、と近増りの美しさ。 一帆の濡れた額は快よい....
「海異記」より 著者:泉鏡花
をおさえたのである。 六 「晩飯の菜に、塩からさ嘗め過ぎた。どれ、
糠雨でも飲むべい、とってな、理右衛門どんが入交わって漕がしつけえ。 や、おぞい....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
。何もかも行きとどいた女と兄もほめた若い女の手本。いくら憎く思って見てもいわゆる
糠に釘で何らの手ごたえもない。あらゆる偽善の虚栄心をくつがえして、心の底からおと....
「山と雪の日記」より 著者:板倉勝宣
と、焼にはまだ雲がかかっている。米をとぐと、たちまち手がこごえ、我慢ができない。
糠飯を食うのは有難くないし、みんなの顔が恐ろしい。他の奴はねぼけ眼から涙を出して....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
肝を、生のもので見せてからと、御前で壺を開けるとな。……血肝と思った真赤なのが、
糠袋よ、なあ。麝香入の匂袋ででもある事か――坊は知るまい、女の膚身を湯で磨く……....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
暑かりそうな処を、身に沁みるほどに薄寒い。…… 木の葉をこぼれる雫も冷い。……
糠雨がまだ降っていようも知れぬ。時々ぽつりと来るのは――樹立は暗いほどだけれど、....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
意気なお方に釣合わぬ……ン、と一ツ刎ねないと、野暮な矢の字が、とうふにかすがい、
糠に釘でぐしゃりとならあね。 さすがに心得のある奴だけ、商売人にぴたりと一ツ、....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
辷らした、紅の襦袢の袖に片手を包んだ頤深く、清らか耳許すっきりと、湯上りの紅絹の
糠袋を皚歯に噛んだ趣して、頬も白々と差俯向いた、黒繻子冷たき雪なす頸、これが白露....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
、赤蜻蛉が二つ出た。 たった今や、それまでというものは、四人八ツの、団栗目に、
糠虫一疋入らなんだに、かけた縄さ下から潜って石から湧いて出たはどうしたもんだね。....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
そのまま、窪地のあちこちには、草生がむらむらと、尾花は見えぬが、猫じゃらしが、小
糠虫を、穂でじゃれて、逃水ならぬ日脚の流が暖く淀んでいる。 例の写真館と隣合う....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
い。 陰気な、鈍い、濁った――厭果てた五月雨の、宵の内に星が見えて、寝覚にまた
糠雨の、その点滴が黴びた畳に浸込む時の――心細い、陰気でうんざりとなる気勢である....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
ちがひやりとして、冷たい風が頬を撫でた。 その時仮橋ががたがたいって、川面の小
糠雨を掬うように吹き乱すと、流が黒くなって颯と出た。といっしょに向岸から橋を渡っ....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
ずまいも端正としたのを、仕事場の机のわきへ据えた処で、……おなじ年ごろの家内が、
糠味噌いじりの、襷をはずして、渋茶を振舞ってみた処で、近所の鮨を取った処で、てん....