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「糢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

糢の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
がら、濛々《もうもう》と立ち上がる湯煙《ゆげむり》と窓からさす朝日の光との中に、糊《もこ》として動いている。そのまた騒ぎが、一通りではない。第一に湯を使う音や....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
だ一刷《ひとはけ》に抹《なす》り付けた、瀲※《れんえん》たる春色が、十里のほかに糊《もこ》と棚引《たなび》いている。 「なるほど」と甲野さんはまた繰り返した。....
作物の批評」より 著者:夏目漱石
のでも、神秘的なものでも、写実的なものでも、朧《おぼろ》のなかに影を認めるような糊《もこ》たるものでも、青天白日の下に掌《てのひら》をさすがごとき明暸《めいり....
浮雲」より 著者:二葉亭四迷
て、徒《ただ》は坐ッていられぬように、そして柱に懸けた薄暗い姿見に対《むか》い、糊《ぼんやり》写る己《おの》が笑顔を覗《のぞ》き込んで、あやすような真似をして....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
ますと、忽ちに一つの怪物が北の方角から参りました。上は四角で平らで、蓆のようで、糊として判りません。その下にはおよそ二、三十の足のような物がありまして、人のよ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
くその額面を仰いで見たが、早過ぎたといっても、もう日は廻って、薄暗い堂内の空気は糊《もこ》として画面を塗りつぶしています。 そこで兵馬は、やはり渦巻く参詣人....
現代日本の思想対立」より 著者:戸坂潤
、村役場のことでもあったり、野良着を着た風景でもあったりするらしい。こういう曖昧糊とした点がお伽噺しというものの魅力なのだが、処がこのお伽噺しが、日本の現実を....
思い出すかずかず」より 著者:宮本百合子
い、今と云う、一画にぱっと照りつけた強い光りにぼかされて、微に記憶の蠢く過去と、糊としての予測のつかない未来とが、意識の両端に、静に懸っているのである。有のま....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
の主《ぬし》の何者だということは、碑面にはまさしく銘《きざ》んではあるが、暮色|糊《もこ》たるがために、読むことができなくなっていました。米友としてはこの墓地....
幼年時代」より 著者:堀辰雄
そしてそのために反《かえ》ってその局所局所は一層鮮かに、それらを取りかこんだ曖昧糊《あいまいもこ》とした背景から浮み上がって来るのである。 私のごく幼い頃の....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
てみたいと思うが、わたし自身の心のうちの観念が精ぜいよく考えて見ても、すでに曖昧糊たるものであるから、そんなことを書こうなどというのは烏滸がましき業だと思う。....
取舵」より 著者:泉鏡花
りて、辛くも内海を形成れども、泊以東は全く洋々たる外海にて、快晴の日は、佐渡島の糊たるを見るのみなれば、四面※茫として、荒波山の崩るるごとく、心易かる航行は一....
瘠我慢の説」より 著者:福沢諭吉
ん》は無益なりとて、古来日本国の上流社会にもっとも重んずるところの一大主義を曖昧糊《あいまいもこ》の間《かん》に瞞着《まんちゃく》したる者なりと評して、これに....