糸を引く[語句情報] » 糸を引く

「糸を引く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

糸を引くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
恩を返す話」より 著者:菊池寛
が明暮《あけくれ》望んでいた通り、恩人に大なる危害が迫っている。しかもその危害の糸を引く者は、実に彼自身であった。 彼は命を捨てて掛ろうと思った。長く自分を苦....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
せんからね」 「そこで、その蝶々がどうして飛ぶか……。拵え物を飛ばせる以上、誰か糸を引く奴がなけりゃあならねえ。おれがだんだん調べてみると、その蝶々が飛び出すの....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
人で。 (ボーン、ボーン、ボーン、)と云うのが、ねばねばと、重っくるしく、納豆の糸を引くように、そして、点々と切れて、蒼蠅の羽音やら、奴の声やら分らぬ。 その....
聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
るが、鍵の押金は下へ降り切らずに中途で糸に支えられる。で、その次に、鍵穴を通った糸を引くんだ。無論鍵の輪形の結び目が解けるから、それから把手を何度も回転して、角....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
したのであるか? それとも、別々の理由からいなくなったか? あるいはだれか背後に糸を引く者でもあったか? もしくは、ふたりともさらわれていったか? いずれにし....
春昼」より 著者:泉鏡花
いなしで、電話の仮声まじりか何かで、 (やあ、和尚さん、梅の青葉から、湯気の中へ糸を引くのが、月影に光って見える、蜘蛛が下りた、) と大気※じゃ。 (万歳々々....
少年と海」より 著者:加能作次郎
月|前に難船して死んだ村の人達の声のような気もしました。為吉は身をすくめました。糸を引くような細い声は、絶えたかと思うと、また続きました。その声はどこか海の底か....
死者の書」より 著者:折口信夫
人等は、この頃、氏々の御館ですることだと言って、苑の池の蓮の茎を切って来ては、藕糸を引く工夫に、一心になって居た。横佩家の池の面を埋めるほど、珠を捲いたり、解け....
小春」より 著者:国木田独歩
山の上に山が重なり、秋の日の水のごとく澄んだ空気に映じて紫色に染まり、その天末に糸を引くがごとき連峰の夢よりも淡きを見て自分は一種の哀情を催し、これら相重なる山....
女難」より 著者:国木田独歩
て落ちるのです。衣服はびしょぬれになる、これは大変だと思う矢先に、グイグイと強く糸を引く、上げると尺にも近い山※の紫と紅の条のあるのが釣れるのでございます、暴れ....
貞操問答」より 著者:菊池寛
「だって、奥さま、私前川さんと何も邪しい!」 新子の口惜し涙は、とうとう頬に糸を引くまでになって、身をふるわせながら、必死に叫んだ。 「じゃ、お訊きします。....
南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
迄も泣く。 どんどん春の夜は更けていく。咽び泣く民弥の声ばかりが、その春の夜へ糸を引く。泣き死んでしまうのではないだろうか? いつ迄もいつ迄もいつ迄も泣く。 ....
オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
引っ痙れが、ひくひく頬の上で顫えていた。そして、唇の両端から、スウッと血の滴りが糸を引くと、何やら模索しているようだった眼が一点に停まり、やがて孔雀は、棒のよう....
私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
の金曜日”と名づけたものである。 この暴力の背後にひそむものは軍閥であり、その糸を引く警視庁、またそれを背景とする「縦横クラブ」であった。私は事件後も縦横クラ....
くちこ」より 著者:北大路魯山人
これは大概の人がご承知のとおり、初見おか惚れという美人ではないが、トロトロと長く糸を引くやつを、一筋舌の上に乗せ、無上の味覚に陶酔し、顔面筋肉は、心の愉悦を表現....