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糸子
「糸子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
糸子の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
の花が、幽《かすか》なる香《か》を肌に吐いて、着けたる人の胸の上にこぼれかかる。
糸子《いとこ》はこんな女である。 人に示すときは指を用いる。四つを掌《たなごこ....
「省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
紅に充血させて呶鳴りちらしてはいるものの、一番冷静だった。 第三の犠牲者は三浦
糸子と云った。可なり上背のある婦人で、クッションのように軟くて弾力のある肉付の所....
「蠅男」より 著者:海野十三
家の中からは、若い女の声がした。しかしこの声は、どうも少し慄えているらしい。 「
糸子か。すこし気を落ちつけたら、ええやないか」 「落ちつけいうたかて、これが落ち....
「杉子」より 著者:宮本百合子
りして、あぶなくなかみがはみ出しそうになっているのであった。それはお煎餠で、姉の
糸子が、 「ここまで来たのにからてでかえったりすると怨まれてよ、お母さん全くお好....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
って、彼女の長き睫よりこぼるる涙はわれらの膝を潤すであろう。虞美人草の甲野さんが
糸子に対する上品な、優しい気持ちこそわれらの慕うところである。私は君との友情のみ....
「歴史の落穂」より 著者:宮本百合子
くないように思える。最も面白いのは、漱石自身が、たとえば「虞美人草」の中で藤尾と
糸子とを対比しつつ、自身の愛好は、友禅の帯をしめて日当りよい中二階で何の自主的な....
「帝展を観ての感想」より 著者:宮本百合子
本画では理解が皮相的な憾《うら》みはあるが「煙草売る店」青柳喜美子、「夕」三谷十
糸子、「娘たち」森田沙夷などは、それぞれに愛すべき生活のディテールをとらえて、画....
「樋口一葉」より 著者:長谷川時雨
「やみ夜」のお蘭《らん》、「闇桜《やみざくら》」の千代子、「たま襷《だすき》」の
糸子、「別れ霜」のお高《たか》、「うつせみ」の雪子、「十三夜」のお関《せき》、「....
「お奈良さま」より 著者:坂口安吾
お奈良さまの末ッ子に花子という中学校二年生があった。ところが春山唐七の長女を
糸子と云って、花子とは同級生である。 春山
糸子は理論と弁論に長じ、討論会の花形....
「心霊殺人事件」より 著者:坂口安吾
ボ口でうけ唇だが、ミドリは大口で時々カラカラ笑っている。末のファッションモデルの
糸子は先年熱海でミス何々の選があったとき九太夫も見物にでかけて知ってるのだが、こ....
「深夜の電話」より 著者:小酒井不木
っぱり本当だったよ」 「殺されたのは誰です?」 「殺されたのは、T劇場の女優川上
糸子さ」 「ええッ、川上
糸子が?」 俊夫君の驚いたのも無理はありません。川上糸....
「中支遊記」より 著者:上村松園
の晩のことで、一行は京都を出発する時から、華中鉄道副総裁の田さんの夫人始め三谷十
糸子など、内地をそのまま支那に移したような身のまわりであった。衣服も改まるわけで....
「秋深き」より 著者:織田作之助
って、番頭が宿帳をもって来た。書き終ってふと前の頁を見ると、小谷治 二十九歳。妻
糸子 三十四歳――という字がぼんやり眼にはいった。数字だけがはっきり頭に来た。女....