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約
「約〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
約の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
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膝の上に組んだ看護婦の両手。前になった左の手には婚
約の指環が一つはまっている。が、指環はおのずから急に下へ落ちてしまう。
....
「影」より 著者:芥川竜之介
そこにはすでに二年前から、延べの金《きん》の両端《りょうはし》を抱《だ》かせた、
約婚の指環が嵌《はま》っている。
「じゃ今夜買って頂戴。」
女は咄嗟《とっさ》....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
からでしょうか。私はこんな臆測を代り代り逞《たくまし》くしながら、彼と釣りに行く
約束があった事さえ忘れ果てて、かれこれ半月ばかりの間というものは、手紙こそ時には....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
子《じょうぐうたいし》などの兄弟です。――が、そんな事を長々と御話しするのは、御
約束の通りやめにしましょう。つまり私が申上げたいのは、泥烏須《デウス》のようにこ....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
見《うしろみ》のために旅立ちたい旨を申し出でた。と同時に求馬と念友《ねんゆう》の
約があった、津崎左近《つざきさこん》と云う侍も、同じく助太刀《すけだち》の儀を願....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
ったのは。しかし体を売ったと云っても、何も昔風に一生奉公《いっしょうぼうこう》の
約束をした訣《わけ》ではありません。ただ何年かたって死んだ後《のち》、死体の解剖....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
な事を云った。姉は去年縁づく時、父に分けて貰う筈だった物が、未《いまだ》に一部は
約束だけで、事実上お流れになっているらしい。――そう云う消息《しょうそく》に通じ....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
どけたんですがね。とっつかまえて見りゃ何のことはない。ただそのながらみ取りと夫婦
約束をしていたこの町の達磨茶屋《だるまぢゃや》の女だったんです。それでも一時は火....
「運」より 著者:芥川竜之介
ります。その綾や絹を売ったのを本《もと》に致しましてな。観音様も、これだけは、御
約束をおちがえになりません。」
「それなら、そのくらいな目に遇っても、結構じゃな....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
もとへ引き寄せました。 「この阿魔め。まだ剛情を張る気だな。よし、よし、それなら
約束通り、一思いに命をとってやるぞ」 婆さんはナイフを振り上げました。もう一分....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
色の髪の毛が縮れている若々しい額、やさしく撫でる手、物云う眼、皷動する心臓、唇を
約束する微笑、抱愛を
約束する唇!――そして最初の接吻、思わず眼を閉じさせる、あの....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
に旅行の話が定まり、十月十三日ロンドンを出発し、同一五年三月二十三日に帰るまで、
約一年半の間、フランス、イタリア、スイス、オーストリア、ドイツを巡った。 ファ....
「寡婦」より 著者:秋田滋
贖いをして来ました。こうして老嬢をとおしております。いいえ、老嬢と云うよりも、婚
約をしたッきりの寡婦、あの少年の寡婦として通して来たと申したほうが好いのでしょう....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
あろう。それは、思惟によって、万物を反映する。なお、記憶と意識とによって、世を要
約し、世の歴史を自己の中に蔵めている。各個の人間は、物の鏡、事実の鏡であって、宇....
「夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
まいか。 久作さんはほんとに夢の様に、ポックリ逝かれた。夢野久作なんて何だか予
約されていた名前への様にも想われるがそうではない。かかる名探偵作家を現世が産み出....