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「紅唇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

紅唇の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
新ハムレット」より 著者:太宰治
やって下さいませ。」 ハム。「おや、おや、きょうは、どういう風の吹きまわしか、紅唇、火を吐くの盛観を呈している。いつも此の調子でいてくれると、僕も張り合いがあ....
雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
魂と肉との哀訴《うったえ》だった。 浪路は、片手を脇息《きょうそく》にかけて、紅唇にほほえみをうかべようとするのだったが、その微笑は口ばたに硬《こわ》ばりつい....
夢鬼」より 著者:蘭郁二郎
の煎餅を咥えていた光景と、それにつづいてクロオズアップされた、彼女の、あの可愛い紅唇とが、アリアリと浮んだ。 それと一緒に、彼は、思わずゴクンと、固い唾を飲ん....
海底都市」より 著者:海野十三
てばかりいます」 「一体あなたはどこからいらしたんですの」 痛い質問が、女史の紅唇《こうしん》からとび出した。僕はどきんとした。 「ちょっと遠方《えんぽう》な....
現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
ッと緊張する。スパイともなれば、こゝでニッコリ笑みをうかべて、おめざめですか、と紅唇をひらくところであるが、全身コチコチに石と化して呼吸困難、言葉の通路はとッく....
鉄路」より 著者:蘭郁二郎
ように、柔かであった。 源吉は、しっとりとした重みを胸に受け、彼女の血に溢れた紅唇に、吸い寄せられた時、彼の脳の襞の何処を捜しても「轢殺の苦」なぞは、まるでな....
魔都」より 著者:久生十蘭
れて、ブランブランしているというんです」 四十、死体批評会の事 並に紅唇の紋章の事 場面一転いたしまして、ここは警視庁の屍体置場。たいして感....
三国志」より 著者:吉川英治
い。絶えず胸さわぎのようなものを覚えていた。 秘園の春は浅く、帳裡の瓶花はまだ紅唇もかたい。 「貴妃、すぐれない顔色だが、どこか悪いのではないか」 帝は、伏....
私本太平記」より 著者:吉川英治
頬を打たれたぐらいでは怒りもしなければ休めもしない。 「……ベッ」 執拗なその紅唇を交わすたび、下の高氏はくるしげに唾を鳴らした。力の争いでも鳰にかなわない気....