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「紅梅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

紅梅の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
はかれこれその半年ばかり前から、御屋形《おやかた》の空へ星が流れますやら、御庭の紅梅が時ならず一度に花を開きますやら、御厩《おうまや》の白馬《しろうま》が一夜《....
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
誰も知っているものはなかった。が、その石塔が建った時、二人の僧形《そうぎょう》が紅梅《こうばい》の枝を提《さ》げて、朝早く祥光院の門をくぐった。 その一人は城....
首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
《しつ》の中はどうかすると汗がにじむほど暖い。そこへテエブルの上へのせた鉢植えの紅梅が時々|支那《しな》めいた匂を送って来る。 二人の間の話題は、しばらく西太....
外科室」より 著者:泉鏡花
に臨めるナイフにも眼《まなこ》を塞《ふさ》がんとはなさざりき。 と見れば雪の寒紅梅、血汐《ちしお》は胸よりつと流れて、さと白衣《びゃくえ》を染むるとともに、夫....
婦系図」より 著者:泉鏡花
りまで、土用中は、遠慮なしにからからと汲み上げて、釣瓶へ唇を押附けるので、井筒の紅梅は葉になっても、時々|花片が浮ぶのであった。直に桃色の襷を出して、袂を投げて....
春昼」より 著者:泉鏡花
、颯と地を払って空へ抉るような風が吹くと、谷底の灯の影がすっきり冴えて、鮮かに薄紅梅。浜か、海の色か、と見る耳許へ、ちゃらちゃらと鳴ったのは、投げ銭と木の葉の摺....
絵本の春」より 著者:泉鏡花
ら、ちっとずつの遅速はあっても、花は一時に咲くので、その一ならびの塀の内に、桃、紅梅、椿も桜も、あるいは満開に、あるいは初々しい花に、色香を装っている。石垣の草....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
ると二度、三度、六地蔵のように廻る……濃い睫毛がチチと瞬いて、耳朶と、咽喉に、薄紅梅の血が潮した。 (初茸と一所に焼けてしまえばいい。) 脚気は喘いで、白い舌....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
ねて参りましたが、町はずれの侍町、小流があって板塀続きの、邸ごとに、むかし植えた紅梅が沢山あります。まだその古樹がちらほら残って、真盛りの、朧月夜の事でした。 ....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
を、ト言掛けると、婦人は黙って頷いた。 が、もう打頷く咽喉の影が、半襟の縫の薄紅梅に白く映る。…… あれ見よ。この美しい女は、その膚、その簪、その指環の玉も....
革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
ムで、真黒に、うようよと多人数に取巻かれた中に、すっくと立って、山が彩る、目瞼の紅梅。黄金を溶す炎のごとき妙義山の錦葉に対して、ハッと燃え立つ緋の片袖。二の腕に....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
のために方角を替えよ。姿も風采も鶴に似て、清楚と、端正を兼備えた。襟の浅葱と、薄紅梅。瞼もほんのりと日南の面影。 手にした帽子の中山高を、家主の袖に差寄せなが....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
うによろめいたが、衣裄に手をかけ、四辺を※し、向うの押入をじっと見る、瞼に颯と薄紅梅。 九 煙草盆、枕、火鉢、座蒲団も五六枚。 (これは物置だ。....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
をかけて、と見るとこれが音に聞えた、燃るような朱の唇、ものいいたさを先んじられて紅梅の花|揺ぐよう。黒目勝の清しやかに、美しくすなおな眉の、濃きにや過ぐると煙っ....
式部小路」より 著者:泉鏡花
い事、恋の手習するとは知れど、式部の藤より紫濃く、納言の花より紅淡き、青柳町の薄紅梅。 この弥生から風説して、六阿弥陀詣がぞろぞろと式部小路を抜ける位。 月....