紅筆[語句情報] »
紅筆
「紅筆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
紅筆の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
硯《まきえすずり》を介添え申し上げると、深窓玉なす佳人がぽっとほおを染めながら、
紅筆とって恋歌を書きしたためる。そのたんざくを葉笹《はざさ》に結わいつけてあかり....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
。いや、そればかりではない。にわかに三、四十、年が寄りでもしたような納まり方で、
紅筆と番茶の冷やしじるを持ち出すと、おもとの葉の裏と表を丹念に一枚一枚洗いだした....
「平馬と鶯」より 著者:林不忘
ともしない。で、ふとその脚《あし》を見た少女は、急いで籠の外のうぐいすを押えた。
紅筆《べにふで》のような鶯の脚に小さな紙片がしばってあるのだ。 少女が紙を解い....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
が、お杉さんが、引かれる真際《まぎわ》に、役人に薬を使って、着物を着更えながら、
紅筆で、あっしに書きのこして行ったんですよ。お初さんが、川向うの泰仁寺へ行ったは....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
で筆を取って、お捻りのうえに『御礼』と書いたやつがあるんだ。よろこびごとなら朱の
紅筆で、きょうみてえな凶事《きょうじ》にゃあ墨でナ――その包みを拾った者はお前《....
「豊竹呂昇」より 著者:長谷川時雨
や》な媚《こび》がふくまれている。彼女に凄《すご》さを求めるのは無理であろうが、
紅筆《べにふで》をかんで、薄墨のにじみ書きに、思いあまる思案のそこをうちあけた文....
「おせん」より 著者:邦枝完二
粉は、家を出る時袱紗に包んで持って来ました。あたしの遣いふるしでござんすが、この
紅筆は、お前が王子を越す時に、あたしにおくんなすった。今では形見。役者衆の、お前....
「京のその頃」より 著者:上村松園
たのだろうが棒になってるのだが、昔のは茶碗の内らに玉虫色に刷いてあるのを、小さな
紅筆で溶いてつけたものだった。つけ方だって、この頃では上唇も下唇も一様に真ッ赤い....
「四条通附近」より 著者:上村松園
しい情景がその店先に浮かぶ。 紅のつけ方にしても茶碗に刷いた玉虫色のを、小さな
紅筆で溶いて、上唇は薄く、下唇を濃く玉虫色に彩ったもので、そこに何とも言えない風....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
いた、菊五郎格子の帯揚に入れた写真が一枚、それに朋輩の女から、橘之助の病気見舞を
紅筆で書いて寄越したふみとは、その名の菊の枝に結んで、今年は二十。 明治三十三(一九〇〇)年十一月....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
の 浮きたるふしなく、情も恋も 江戸紫や、色香いろはの 手習して、小机に打凭れ、
紅筆を含める状を、垣間 見てこそ頷きけれ。 明治三十九年丙午十二月 鏡花小史 ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
」 と、意地わるく、 「さいぜんから見ていたが、一人の客へは、普門品の一句へ、
紅筆で蓮華散らしを描いて与え、老婆の客へは、空也和讃の一章を、葦手書きにしてやっ....