紅紫[語句情報] » 紅紫

「紅紫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

紅紫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
オリンポスの果実」より 著者:田中英光
光り輝《かがや》く、草木のあいだに、撩乱《りょうらん》と咲き誇《ほこ》っている、紅紫黄白《こうしこうはく》、色とりどりの花々の美しさ、あなたは何処《どこ》にでも....
紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
は雌雄あい呼んで餌をあさってる。朗快な太陽の光は、まともに庭の草花を照らし、花の紅紫も枝葉の緑も物の煩いということをいっさい知らぬさまで世界はけっして地獄でない....
雛妓」より 著者:岡本かの子
た。 「今晩は」 襖が開いて閉って、そこに絢爛な一つくねの絹布れがひれ伏した。紅紫と卵黄の色彩の喰み合いはまだ何の模様とも判らない。大きく結んだ背中の帯と、両....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
湯の花踊と云うのを演った。屋台のまがきに、藤、菖蒲、牡丹の造り花は飾ったが、その紅紫の色を奪って目立ったのは、膚脱の緋より、帯の萌葱と、伊達巻の鬱金縮緬で。揃っ....
神田を散歩して」より 著者:寺田寅彦
らなかった。緑色でないあらゆる花はたたき折られふみにじられた。それでも幸いに今日紅紫の花の種は絶えていない。 ナポレオンは「フランス」を宣伝し、カイザーは「ド....
寄席と芝居と」より 著者:岡本綺堂
がその先駆であったと思われる。やがて竹本綾之助が現われ、住之助が出で、高坐の上は紅紫爛※、大阪|上りとか阿波上りとかいろいろの名をつけて、四方からおびただしい女....
加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
、蜜蜂の唸り、小枝に当たる微風の囁き、何んとも云えず快い。地上には草が青々と生え紅紫繚乱たる草花が虹のように咲いている。ジョージ・ホーキン氏と紋太夫とが、敵に襲....
大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
辺はひっそりと静かであった。女太夫の楽屋のことで、開荷、衣桁、刺繍した衣裳など、紅紫繚乱美しく、色々の物が取り散らされてあった。 「でも本当とは思われないよ。そ....
血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
の裸身が、呂宋織りの垂布を左右にひらいて、浴槽の部屋へ消えた後には、脱ぎ捨られた紅紫の衣装が、散った花のように残されていた。 そうしてその頃にはお紅の裸身は、....
土竜」より 著者:佐左木俊郎
屋の裏から起こるなだらかなスロープを、渦を巻き巻き埋めつくしていた。青草の中には紅紫の野薊の花が浮かびあがり、躑躅の花が燃えかけていた。そして白い熊苺の花は、既....
私の洋画経歴」より 著者:小野佐世男
うちでもその芸術性は、うなずけるような思いであった。「火」「ふくろ」なぞの青色や紅紫の染色にそめられた宝石のような色調の美しい淡い光りは、いまだに眼にのこり、フ....
上野」より 著者:永井荷風
話シテ行ク者ハ洋客ナリ。龍蹄砂ヲ蹴ツテ高蓋四輪、輾リ去ル者ハ華族ナリ。女児一群、紅紫隊ヲ成ス者ハ歌舞教師ノ女弟子ヲ率ルナリ。雅人ハ則紅袖翠鬟ヲ拉シ、三五先後シテ....
読むうちに思ったこと」より 著者:小川未明
がいかに人の想像に訴えて、ほしいままに空間に形を描き、声なき声を発し、色なきに、紅紫絢爛、さま/″\な色彩を点ずるかゞ知られるのであります。 学生時代に、その....
藤の瓔珞」より 著者:田中貢太郎
っていた。そこに十坪位の小さい池があってきれいな水を湛えていたが、その池の縁にも紅紫とりどりの躑躅や皐月の花があった。憲一はその池の縁へ往って腰をかけた。 「あ....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
の曇天であった。 豊原から此処までの二駅の間は、たも、ばっこ楊、落葉松の疎林に紅紫の楊蘭や薄黄の山独活、ななつば、蝦夷蘭の花がまだ野生のままに咲き乱れて、ただ....