紋羽二重[語句情報] » 紋羽二重

「紋羽二重〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

紋羽二重の前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
腰を屈めて、立直った束髪は、前刻から風説のあった、河野の母親と云う女性。 黒の紋羽二重の紋着羽織、ちと丈の長いのを襟を詰めた後姿。忰が学士だ先生だというのでも....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
の前に行き、一々その引き出しを明け、おもな衣類を出して見た。大抵は妻の物である。紋羽二重や、鼠縮緬の衣物――繻珍の丸帯に、博多と繻子との昼夜帯、――黒縮緬の羽織....
千鳥」より 著者:鈴木三重吉
かった。 けれども、ふと机の抽斗を開けてみると、中から思わぬ物が出てきた。緋の紋羽二重に紅絹裏のついた、一尺八寸の襦袢の片袖が、八つに畳んで抽斗の奥に突っ込ん....
」より 著者:宮本百合子
う連中が来ていた。明治末葉の、漠然婦人運動者と呼ばれている人々であった。 黒い紋羽二重の被布に、同じような頭巾をかぶったはつ子は、小さい眼を輝やかせて自分の恋....
渋谷家の始祖」より 著者:宮本百合子
につけて、正隆の眼の前に現れた。 赤坊の時から見なれた母未亡人が、相変らず、黒紋羽二重の被布に、浅黄の襟をかけて、小ぜわしく廊下を歩み廻るのを眺めながら、朝夕....
道灌山」より 著者:宮本百合子
はつは、ある朝いきなり北海道からうちへ来た。そして、富樫とひどい喧嘩をした。紫の紋羽二重の羽織に丸髷で、母のところへ挨拶につれて来られても、母に何か云ってくって....
魔都」より 著者:久生十蘭
いのコーヒーを沸かせのと、とんだ政所《まんどころ》なんで御座います。襟垢のついた紋羽二重の長襦袢を一ン日中引摺って、ねえ、あなた、いうことが歯痒いじゃありません....