純然[語句情報] » 純然

「純然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

純然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
て、青葉の六月になろうとするころには、葉子は痛ましくやせ細った、目ばかりどぎつい純然たるヒステリー症の女になっていた。 三九 巡査の制服は一気に夏服になっ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
表さるると称して可い。 夫の理学士は、多年西洋に留学して、身は顕職にありながら純然たる学者肌で、無慾、恬淡、衣食ともに一向気にしない、無趣味と云うよりも無造作....
闖入者」より 著者:大阪圭吉
ったなら、富士山ひとつで充分だ。あのようないくつかの余分な要素を、しかもあれだけ純然たる絵画の形式に纏め上げるだけの意力が、既に死期に臨んだ亜太郎にあったのなら....
自叙伝」より 著者:大杉栄
打たれたら左の頬を出せ」という宗教の本質の無抵抗主義にも疑いを持って、階級闘争の純然たる社会主義にはいることができた。 戦争が始まるとすぐ、父は後備混成第何旅....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
ぐものなどは、最早只の一人もない。彼等には再生の機会は全くなく、要するに彼等は、純然たる霊界居住者なのである。然し乍ら、彼等が曾て鏤めたる宝玉は、歳と共に光輝を....
『新訳源氏物語』初版の序」より 著者:上田敏
。故事出典その他修辞上の装飾には随分、仏書漢籍の影響も見えるが、文脈に至っては、純然たる日本の女言葉である。たとえば冒頭の「いづれの御時にか、女御更衣あまたさぶ....
『地球盗難』の作者の言葉」より 著者:海野十三
はない。一般読者階級には、科学小説に興味をもつ者も少く、科学を理解する者の頭から純然とひねりだされた科学小説もなく、そしてまた科学者たちは本来の科学研究を行うの....
瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
の治療法のみなりとて、彼の浅田宗伯を信ずること深かりしという。すなわちその思想は純然たる古流にして、三河武士一片の精神、ただ徳川|累世の恩義に報ゆるの外|他志あ....
雷同性に富む現代女流画家」より 著者:上村松園
自己の鑑識を高めるものではありません。唯に新しき批評家を以て、自称せんがために、純然たる自分の要求を裏切って、片暈やじじこましのようなものを讃めているのは自己を....
明治哲学界の回顧」より 著者:井上哲次郎
史的に考察するときには宗教に三段階があるが、なお将来の宗教如何を考察するときには純然たる普遍的世界的の理想教または倫理教が興ってこなければならぬ。人によっては仏....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
てるもの、例えば先年の椿岳展覧会に出品された淡島嘉兵衛旧蔵の飛燕凝粧の図の如きは純然たる椿年派であって奔放|無礙の晩年の画ばかり知ってるものは一見して偽作と思う....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
れど裏面は日本の勢力扶植の一機関たれば自ら志士集合所の如き趣ありて公使館あたりの純然たる官吏社会より観れば頗る危険の分子を含みたる一団体の如く目さるる傾有之、た....
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
国の学士語りて曰く、日本の仏教はまことの仏教にあらず。そのシナに伝わるものすでに純然ならず、流れて日本に入るに当たりてまた濁水と混じ、腐敗の宗教となる。もし、こ....
西航日録」より 著者:井上円了
ざるも、なお不潔の点につきては、余もやや辟易せり。河口氏はチベットの僧服を着し、純然たるチベットラマの風あり。同国人のこの地にあるもの、みな氏を見て合掌の礼を行....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
きも、混血多く、その色赤黒くして、われわれ日本人よりもいくぶんか黒く見ゆ。また、純然たる黒奴もこれに雑居す。物産は果物およびタバコにして、小舟に載せ、本船の周囲....